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2010年4月30日 (金)

「聞き屋与平」

★★★☆☆。
 前作を散々くさしておきながら性懲りもなくまた読んでいる。それほど宇江佐真理に惚れ込んでいるわけではなく、単に2冊買ってあったというだけの話ではあるが。
 本書、とりあえずは水準作でほっとした。これがダメだったらもう二度とこの著者は手に取らないところだった(除く「髪結い伊三次」)。聞き屋なる商売というか役割が成り立つものかどうかわからないし、設定としてちょっと無理がある気はするけれど、主人公与平とその家族を含む周囲の人々、その温かい交歓が心地よい。鯰の長兵衛、おうの、おまさとちょい悪役も配されてはいるものの、底が浅く罪がない。聞き屋の客の話も他愛ないし、悪くいえば微温湯的で緊張感には乏しいけれど、一応全編を貫く謎というほどではないものの過去の秘密があって、それが最後に意外な明かされ方をする。ただ、それがこの作品の主題ということではなく、ひとつの大きなエピソードというのが正しいのだろう。
 およし、おなか、おさく、おせき、脇役の女性陣がそれぞれに魅力的。「七人のおば」ほど明快ではないけれど似たような人物をそれぞれに書き分けてみせるというのは、それなりの筆力なのだとは思う。

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