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2010年5月25日 (火)

「父・宮脇俊三への旅」

★★★★☆。
 蛙の子は蛙というか、血は争えないというか。元中央公論社編集局長で全線完乗鉄道作家の故宮脇俊三氏の長女の書く父親の思い出話集。内容は他愛のないものだが、うまい。全体の配列は多少雑多という感じもするけれど、一つ一つの小文は文章も構成もうならされるくらいにうまいと思う。
 単行本で出たときに買おうかと思ってやめたことがあるし、同じ著者の旅行記もあまり評判が芳しくなかったので、どうかなと思ったけれど、誠に失礼しました、という感じ。
 ただし、本人の鉄道紀行からはうかがえない、食事にうるさかったり、布団が好きで寝てばかりいたり、出版業界のコネで娘の就活の手伝いをしたり、晩年はアル中で毎日泥酔していたり、とかいう意外な一面は、ぼくのような著作のほとんどすべてを読んでいる宮脇ファンにとっては大層興味深いけれど、そうでない人にはどうでもいい他人の内輪話であり、達筆だというだけで200ページほどの薄い文庫本に514円出すほどのものかは意見の分かれるところだろうか。
 宮脇俊三が亡くなってもう7年。享年76歳はなんとしても若すぎるし、まだまだ健筆を揮ってほしかったと当時は残念に思ったけれど、この本を読むともう限界だったのだということがよくわかる。本人ももう十分汽車旅を堪能したと思っていたかもしれない。ファンとしては東北新幹線盛岡以北や九州新幹線にも乗ってもらいたかったし、来年3月には実現する新青森から鹿児島中央までの新幹線の旅の感想を聞いてみたい気がするけれど。

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