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2010年5月 4日 (火)

「天地明察」

★★★★★。
 さすが本屋大賞。本屋のみなさんの目は節穴ではなかった(失礼)。好天の休日に走りに出るのも忘れ、たっぷり楽しませてもらった。
 時代小説ではあるけれど、明るい青春小説を読んでいるような気になる。春海とえん、村瀬のやりとり、あるいは春海と道策、あるいは春海と建部、伊藤、という春海ととりまく多彩な人々のやりとりが、みんな同色に染められている。これが相手が酒井忠清、水戸光国、保科正之という幕閣の大物となってもまったく変わらない。渋川春海という素朴で飾らない軽い人物造型が中心に物語がまわっていくせいだろう。
 内容は改暦という歴史に残る大事業を幾多の困難を乗り越えて完遂するという重いテーマで、栄光に至るまでの辛苦、失意、挫折、そういう要素がきちんと織り込まれていて決して坦々と進んでいるわけではないのに、主人公の軽さのためにあたかも春の小川のごとくさらさらと読めてしまう。
 書評や帯などの感想から飯島和一と似ているのではという期待をしたけれど、その点ではちょっとはずれた。「始祖鳥記」はもっと泥臭くて濃い。人によっては鼻につくかもしれない。けれどこの「天地明察」は老若男女万人に向きそう。そのまま映画かドラマになっても違和感ない感じといったらいいか。どちらが良いとか悪いとかではなく、好みの問題だろう。
 ひとつ気になったのは、最後から3行目。ぼくとしては、ここは「えん」としてやりたかったけど。

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