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2010年5月13日 (木)

「人物で語る化学入門」

★★★★☆。
 しばらく時代小説オンリーだった通勤読書。ちょっと気分を変えて化学史なぞを読んでみた。
 この手の化学史読み物は小さい頃から好きで、いろいろと読んでいる。なので登場人物もエピソードもよく知っていることが多いけれど、何度読んでもおもしろいし、また新たな発見もある。
 今回の発見は、メンデレーエフとルイスが十分資格がありながらノーベル賞を受賞していないこと。本書に取りあげられる化学者はそれぞれ偉大な業績を成し遂げた人たちばかりで、いずれも甲乙つけがたいが、ことこういう受賞となると運不運がつきまとうのは世の常だろう。新しい発見という点では文句なしなのにね。
 それから、そのノーベル賞受賞者のキュリー夫人。科学の成果は全人類が共有すべきであるという信念から、ラジウムに関する特許をとらなかったという。X線の特許をとらなかったレントゲンも然り。すばらしい。時代が違うとはいえ、知的所有権だ財産権だのといって微々たる成果すら特許化して守ろうとする現代の風潮が恥ずかしくなる(税金で運営されている国立大学法人だって例外ではない)。
 トリビアも。クラウンエーテルの発見(発明?)者ペダーセンの母親は日本人だった。へ~。それから、酸素の同位体17Oは放射性同位体である(p92)。おっとっと、これはダウト。まあこれくらいの間違いはご愛嬌ということで。
 化学入門と銘打ってあるので専門外の人向けなのだろう。そのあたりは手慣れた竹内先生なので専門的な話を苦心してわかりやすく書いてはあるが、たぶん化学から遠ざかっている文系の人にはこの程度でもとっつきにくいだろう。でも化学好きの若い人にはぜひ読んでほしいと思う。

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