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2010年5月14日 (金)

庄司紗矢香のバイオリン

 今月の札響定期、ソリストに庄司紗矢香を迎えてモーツァルトのコンチェルト5番。若くて高名なこの人を聴くのは初めて。どんなモーツァルトなのだろうと待ち構えていたら、重い荷車を引っ張り出すかのような出だしにびっくり。重い。これがモーツァルト? バックに流れるオーケストラは紛れもなく軽快なモーツァルトなのにバイオリンソロの重さはどうだろう。鈍重なとか重厚なとかいうのとは違う、なんていったらいいのだろう、うまく言えないがとにかく軽くないのだ。
 略歴をみると、1999年パガニーニ国際コンクールに最年少で優勝とあるから、相当の技量の持ち主であることには間違いない。そうか、わかったぞ。パガニーニみたいな難曲を軽々と弾きこなすために、ふだんは鉛の弓で練習しているに違いない。それでちゃんと弾ければ普通の弓なら楽々操れるだろう。今日は間違えて練習用の弓をもって登壇してしまったのだ。どうりで重いわけだ。
 モーツァルトはこうだよ、と誰も教えてあげたことがないのだろうか。あるいは、それを知っていて自分の解釈としてこうであらねばと考えているのだろうか。ならばそれはそれですごい。こんなモーツァルトは聴いたことがない。これこそ個性というものだろう。才能と言い換えてもいいかもしれないが。
 同じ年代の神尾真由子の女王様のような堂々たる弾きぶりとは全然違う。神尾が弾くモーツァルトというのも想像しにくいが、たぶん大方の予想に合うように軽々と弾いてしまうような気がする。そこへ行くと庄司は愚直なのかもしれない。ひょっとすると熱狂的なファンをもっているのではないだろうか。
 アンコールはバッハの無伴奏パルティータ。モーツァルト以外をぜひ聴いてみたいと思わせる演奏だった。

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