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2010年8月16日 (月)

「数えずの井戸」

★★★★☆。
 「番長皿屋敷」がこの希代の語り部の手にかかるとこうなるか。しかし、ちょっと不満がないでもない。なので減点。並みの作家なら高望みというものだろうけれど。
 なんとも虚無的な前半。「人は何をどうしようと、何も、何一つ思い通りにすることは出来ぬ。どれだけ天を睨んでも、雨一粒降らせることは叶わぬのだ。」
 目録を見たときはどういう構成になっているのかわからなかったが、この悲しい物語りにそれぞれかかわりをもつ6人、播磨、菊、十太夫、主膳、三平、吉羅の挿話が順に繰り返されてゆく。と、意外なところに又市登場。懐かしさが胸にあふれてくる。ああもう大丈夫だ。又市がからんでくるのならもう安心だとホッとする。でも、出てくるのは又市と徳次郎だけだ。これで仕掛けがきくのか。
 後半に仙という腰元が意味ありげに登場する。これが仲間か。山猫まわしの。「いや、違う」。違うのか…。結局、何の仕掛けもなく物語りは悲しい結末を迎える。
 又市よ、なんとかしろよ。もう遅いよ。
 悲しいものはたしかに美しい。だけど、こんなに悲しい物語なんて読みたくない。
 「もう。
  数えることはないのだよ。」

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