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2010年9月20日 (月)

「遊戯」

★★★★☆。
 前にも何度か書いたけど、藤原伊織はぼくにとって特別の作家だった。「テロリストのパラソル」の衝撃以来、「ひまわりの祝祭」、「てのひらの闇」と続く一匹狼たちの系譜に心揺さぶられ、人生を鼓舞された。人が生きるということはどういうことか、生きる価値とは何なのか、を強烈に問いかけてくる。命よりも大切なもの、守らねばならないものがあり、そのためにこそ人は生きる価値がある。人を魅入らせる恐ろしい思想かもしれない。
 その彼の早すぎる死からもう3年になる。もうこれで藤原伊織は読めなくなるのか、本当に泣きたい気がした。遺された作品はあまりにも少ないけれど、どれもが傑作といっていいものだった。東野圭吾や真保裕一ほどとは言わないけれど、もう少し書いてほしかった。
 この本はその遺作集。これと、遺作となった長編「名残り火 てのひらの闇II」が死後に刊行された。「名残り火」ももちろん手元にあるが、もったいなくて今だに読めないでいる。
 表題作の「遊戯」は絶筆となった連作短編集で、5編まで書かれて未完のまま中断している。本間とみのり、2人の主人公の造型がきわだっていて魅力ある。周りを固める脇役陣も相変わらずうまい。ストーリーは不審な自転車男が出没したりしてミステリー仕立てになっているが、いかんせん中絶しているので謎が残されたままだ。でも帯にあるような最大の謎というわけでもない。章立ての一つ一つができのいい短篇になっているので、もう少し続きを読みたいとは思うけれどこれはこれでいいのかもしれない。未完でも十分楽しめる。
 今日のランニング。8.3 km/57 min。今月の累計距離 81.3 km。雨が降り出してずぶ濡れ。

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