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2011年1月31日 (月)

「真夜中の死線」

★★★☆☆。
 看板に偽りあり、ってだまされる方が悪いんだけど。死刑執行直前に真犯人を捜し出す時間制限サスペンスという、「幻の女」と「暁の死線」を足して2で割ったような内容に、ウィリアム・アイリッシュばりのいかにもなタイトル。帯にある「10年に1度出るか出ないかの至高の傑作である」の惹句。そして何といっても訳者が芹澤恵。本屋で手にとったときに、この訳者名は効いた。フロストもので芹澤さんの名訳は身に沁みている。彼女が選んで?訳した本なら間違いなかろう、と思ってもおかしくない。
 死刑執行当日の受刑者のようすと着々と整えられていく執行準備、ほんの小さな疑点から冤罪の可能性に思いいたって行動を開始した新聞記者。それぞれの動きが交互につづられていく、というよくあるパターン。執行数時間前という期限時間の圧倒的な短さは特徴的だけど、なぜかじりじりするような焦燥感、緊迫感が伝わってこない。肝心のエヴェレットという記者の人物造型に失敗しているからだろう。フロストは確かにくそったれだけど憎めない、共感できる。しかしエヴェレットは単なるくそったれでしかない。なんでこんな男が主役を張るのだ。
 そして極めつけは、土壇場の泥酔運転でのカーチェイスに突然心変わりした証人というご都合主義。死刑執行直前のトラブルもあまりにクサい。安易な90分ドラマを見せられているようだ。

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