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2011年1月26日 (水)

「博士の愛した数式」

★★★★★。
 ★5個満点が連続するなんて、読者冥利につきる。こういう本に巡り合える幸せ。しかしなんて素敵なお話なんだろう。ぼくはこういう物語が読みたかったんだ~、と大声で叫んで歩きたいくらい。もちろん有名な作品なので何を今さらと言われそうだが、ぼくはベストセラーとかナントカ受賞作とかはほとんど読んでない人なので、今頃になって初読なのだ。
 事故により80分間の記憶しかもてなくなった64歳の数学者が主人公。数学者がそういうイメージなのかわからないが、記憶の欠陥は別としてもよろず世事に疎い博士と、身の回りの世話を焼く派遣家政婦である私と、そして博士にルートと名づけられ可愛がられているその10歳の息子、登場人物はたった3人で、その日常的なやりとりが坦々とつづられてゆく。あとは老博士の義姉にあたる母屋の老夫人(あとでキーパースンのひとりと判明する)がちらっと出てくるくらい。
 数学者が主人公だけに、友愛数、素数、オイラーの式など数学的な話題が多く、その魅力が物語に独特な奥行きをあたえている。以前話題になった「数の悪魔」を引き合いに出すまでもなく、数学は苦手でも数の不思議さにとても魅力を感じる人は多いだろう。これを読んで自分と相方のもつ数字に何か因縁がないだろうかと探した人は結構いるに違いない(笑)。
 裏表紙の紹介文に「あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語」とある。なるほど、その通りだ。随所にみられる「私」と「博士」の心の通い合い。80分しか覚えていられなくたって人を思いやることはちゃんとできる。博士のやさしさがしみじみと伝わってくる。「仕事中、心に浮かんでくる博士は、いつもベッドでうな垂れていた」、「君が料理を作っている姿が好きなんだ」。そこには愛も恋も好いたも惚れたも出てこないけれど、まさに愛の物語なんだなぁ。じわーっと心が温かくなる。第1回本屋大賞受賞はだてではないよ。すばらしい。

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