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2011年1月10日 (月)

「ロシア幽霊軍艦事件」

★★★★☆。
 霧の芦ノ湖に忽然と現れたロシアの巨大軍艦。いったいなぜ、どうやって? まったく島田荘司の考えそうなことだ。どう考えても荒唐無稽にしか思えない不可思議な状況を、例によって奇抜な大仕掛けで合理的に説明つけてしまう。まあ、今回はさすがにちょっと、いやかなり苦しかったけどな。絶対あり得ないとは断言できないというレベル。
 現実の事件を解決するという話ではなく、過去の歴史上の謎を解き明かすという体裁になっているので、大半がロシア帝政の崩壊とロシア革命前後の物語になっている。どこまでが史実でどこからがフィクションなのか世界史に暗いぼくには判断がつかなかったが、著者自身の後書きがついていて、ボルシェビキの処刑を逃れて行方不明になったロマノフ王朝のアナスタシア皇女がアメリカに渡って生き延びていた、というまるで源義経~ジンギスカンみたいな話の生き証人が現実にあったというからびっくり。その真贋は別として、この想像力豊かな異才はそこからこの壮大な純愛ロマンスを仕立て上げた。まあ、おとぎ話だ。おとぎ話だけど、どうしてこの作者の紡ぎ出す純愛物ってこんなにも切ないのだろう。「異邦の騎士」しかり、「摩天楼の怪人」しかり。
 「私はあの(富士)山よりも高く、バイカル湖よりも深く、あなたを愛しています。」 こんなセリフにどん引きさせないで、うんうんと思わず感情移入させてしまう筆力はさすが。単なる歴史ミステリであの無理っぽいトリックだけならせいぜい星3つなんだけど、どうもぼくは純愛物に弱いので点が甘くなってしまう(笑)。

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