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2011年1月14日 (金)

豆腐屋のじじい

 就活中の学生に聞いた話によれば、エントリーシートの質問に「自分の人生を変えた本をあげよ」というのがあったそうだ。感動した~とか影響を受けた~ではなく、人生を変えた~だからすごいよね。たかだか20年そこそこの人生でそんな大層な本に出会った人なんてどれくらいいるのだろうか。
 ぼくはこれまでにたぶん数千冊は本を読んでいると思うけど、人生を変えた本なんてあっただろうか、と思わず考えてしまった。話を聞いたときにすぐにはとても思い浮かばなかったけれど、今頃になってああそういえばというのをいくつか思い出した。
 そのうちのひとつで最も新しいのが「模倣犯」。新しいといってももう10年近く前だ。宮部みゆきの代表作の一つとされているこの大作、実はぼくはあまり高く買ってない。いま採点したとしてもたぶん星3個止まりだろう。読んだ直後の01年8月26日のWebmaster日記にもそんなようなことを書いた。が、そこにはこうも書いてある。『(前略)...それに比べて豆腐屋のじじいこと有馬義男の人物描写は文句なしにうまい。うら若い?女性がどうしてこんな年配の男の心のひだを鮮やかに描けるのだろうか。「そんでも私は、悪あがきしたいんだよ。何かをしたいんだ。」、穏やかに暮れ行くはずだった人生のたそがれを、思いもかけない事件との遭遇で根底からひっくり返された男の、内奥から湧き上がる心の叫びが胸に響く。...(後略) 』。
 この豆腐屋のじじいの言葉に、ぼくは自分の生き方を考えさせられた。生き方を変えたと言ってもいいかもしれない。もう一度前後を読みたいと思って本棚から引っ張り出してみたものの、上下2冊のボリュームに探しようがないよこれじゃと諦めかけたら、なんと下巻の栞ヒモがちゃんとp462にかけてあった。当時よほど気に入っていたものとみえる。上記に続く部分にはこうある。「この上、じっと座っていて、何かがやって来て私から残りの人生を、ほんのちっとしか残っていない人生を、また取り上げてゆくのを黙って見ているのは嫌なんだよ...(中略)...もう受け身でいるのはまっぴらなんだよ」。
 ぼくの人生だってもう長いわけじゃない。あっちに遠慮し、こっちに気を使って、やりたいこともやらずに朽ちていくのは嫌だ。そうつくづく思った。ということで、それから少しだけだけど好き勝手に生きさせてもらっているというわけ。人生変わったかな(笑)。

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