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2011年1月 4日 (火)

「学生街の殺人」

★★★☆☆。
 「放課後」、「卒業」に続く東野圭吾初期の学園もの。前の2作は読んでそれなりだったけど、こいつはちょっと期待が外れた。学生街とは銘打っても学生はほとんど登場しない。正しいタイトルは「学生がほとんどいない旧学生街の殺人」とすべきだろう。というのはいいにしても、つくりが画一的というか、この程度ならそんじょそこらにいっぱいありそうという感じ。
 うわべに起きている事件がありきたりの動機でトリックも何もなく犯人が割れる。この時点で残り1章100ページ、ああもう一幕あるんだなとわかってしまう。そこからが作者の腕の見せ所だろうに、その肝心の部分に無理が多い。意外性はあるかもしれないが、動機とか相互の人間関係とかに説得力がない。こんなんで殺されたのでは救いようがないよ。
 登場人物それぞれはよく書けていると思うけど、肝心の主人公のひとりである広美の存在感が希薄なのも気になる。謎が多いという設定なのはわかるけど。それに、そもそもすべての発端になっている昔の事件の処理がとうてい納得できない、というか非現実的だ。事件が起きた時点で法に則って常識的な対処をしさえすればこんなことにはならないだろうに。まあそれでは小説にならないんだけど。
 唯一の救いは、エレベータの密室の謎の悲しい真相だろうか。でも、小説としては救いだけど、これでは当の本人は救われない。かわいそう過ぎる。学園ものというからは、テーマのひとつが主人公で探偵役でもある光平の成長物語なのかな。ぼくには理解できないけど同年代の若者が読んだら感情移入できるのだろうか。それも謎だ。

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