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2011年2月28日 (月)

「イレギュラー」

★★★★☆。
 スポ根ものだと思って読んだらちょっと違っていた。裏表紙には「ダメダメ野球部のむやみに熱い青春ストーリー!!」とある。なるほど高校球児が主体の青春小説には違いない。ただ、そこに水害で避難生活を送る村の人たちのようすがからんできて、物語に奥行きを与えている。かといって社会派というほどでもない。まあ、たんぽぽのお好み焼きではないが、いろいろと混ぜこぜにしておいしく焼き上げました、というところか。涙はないけど笑える。読んでスカッとする。難しいこと考えなくても、小説を読む楽しみというのはそれが一番。
 しかしその一方で、「イレギュラーではボールデッドにならない」という言葉は深い。人生では予測できないことが起こることがままある、いやしょっちゅうある。それにいちいち慌てたり茫然としたりしていたらどんどん取り残されていくだけだ。とにかく素早く気を取り直してボールをつかみ最善と思う方向へ投げる、それしかないのだ。それでだめなら仕方がない。あきらめもつく。人生の要諦だなあ。
 ラストで始まる蜷谷と圭真の練習試合。う~ん、見たい。応援席に陣取って一緒に一喜一憂したい。コーキが投げ矢中が打つ、狭間が投げモウが打つ、ここまで読んできた読者にはもう両軍のベンチがみんな仲間だ。どっちも頑張れ。頭上に広がる真っ青な空が見えるかのようだ。

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