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2011年2月19日 (土)

「利休にたずねよ」

★★★★★。
 名作。この作者は初めて読んだけれど、感心した。秀吉に重用されながら最後には死を賜った千利休の物語。死の寸前から始まって時間がどんどん遡ってゆく構成が斬新だ。普通は発端から説き起こして最後にクライマックスへもっていくというふうに、時系列順にエピソードを並べてゆくものだろうが、本作はまったく逆になっている。読み始めはかなり違和感があったけれどじきに気にならなくなった。そんなことよりも内容のおもしろさ豊かさに取り込まれてしまったせいだろう。
 千利休の美に対する意識というか執念、もとよりそれはよーくわかる。類い稀な感性をもっていて、そのことが秀吉の勘気を被って破局の原因になってしまった、それもよくわかる。秀吉の身勝手はおくとしても、こんな男が身の回りにいたらおそらく耐えられないだろう。ただ、それだけでは頑張っても一級作品にしかならない。本作が超一流なのは、そこに高麗の女性との若き日のエピソードを織り込んだところだろう。物語を通じた重要なキーアイテムとなっている緑釉の小壷とそれにまつわる女の影。冒頭の利休が死を賜ったことなどはほんの瑣末事で、物語全体がその謎を解き明かすために語られていくかのようだ。
 男は一生初恋の女性を思い続けるとか。超一流の粋人である千利休にしてそうなのか、とちょっと親近感がわいてくる。死して利休の魂はどこへ行くか。そう考えたら宮部みゆきの解説がどんなに的外れなものかよくわかる。読み終えてこのすばらしい物語の余韻に浸っている間は、絶対に解説は読まないことをすすめたい。
 今日のランニング。12.7 km/85 min。今月の累計距離 73.9 km。

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