« タウンシューズ | トップページ | 鍛練 »

2011年2月12日 (土)

「グラスホッパー」

★★★★☆。
 なんといっても表紙カバーの写真が秀逸。一昔前のノスタルジックな地方都市の駅風景。ところが中央のホームに停車しているのはよく見ると近代的なゲンコツ型先頭車の特急車両だ。架線がないから気動車だとするとこの形はJR北海道にしかない。特急が止まる非電化区間の地方の地平駅でそれなりに駅前にはビルもある街。正解は釧路だろう。跨線橋が見えないので地下道でホーム間を連絡しているところも合っているし。見れば見るほどいい味出してるなあこの写真。作品とは何も関係ないのに。でもこのカバーだけで★一つ追加だ(笑)。
 闇企業フロイラインの社長の馬鹿息子に妻を殺された鈴木が復讐のためにその会社にはいりこんだはいいものの、あまりに無防備で抜けているために、殺し屋同士の主導権争いに巻き込まれていく、という荒っぽくいえばそんな筋書き。鈴木と鯨、蟬という2人の殺し屋のそれぞれの動静が交互につづられて行き、だんだんと収束してゆくというよくあるパターン。ストーリーそのものはどうってことないが、殺し屋にも業界があっていろいろなプロがいたり、争ったりするところがおかしい。
 個人的には自殺屋の鯨が印象的。人の心のスキをついて自発的な死に追い込む。依頼者でもない人間が成り行きで納得して自死してゆく。誰しもがもつ心の深淵がこわい。こわいといえば、一番不気味なのは槿だろうな。これをあさがおとは読めないけど。彼ら一匹狼に比べれば、比与子、寺原を含めフロイラインの連中など甘ちゃんとしかいいようがない。
 ミステリーではもちろんないし、ハードボイルドというほどでもないし、結局何が言いたいのかわからない小説だ。殺し殺されるシーンもたくさんあるけれど、不思議と読後感は悪くない。この作者の書くものって、変な言い方だけど「お行儀がいい」のだよなと思う。だからすんなり抵抗感なく読めてしまう。アベレージヒッターみたいな。
 今日のランニング。16.5 km/118 min。今月の累計距離 49.3 km。

« タウンシューズ | トップページ | 鍛練 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

CLICK !

  • おもしろ有機化学ワールド



twitter

2024年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ