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2011年2月14日 (月)

「ICO-霧の城-」

★★★☆☆。
 だいたいが文庫の帯ほど信用できないものはないが、「著者渾身のエンターテインメント!」には著者も赤面するのでは。この人はこういう異境物ファンタジーをいくつか書いていて、どれもそれなりにおもしろいけれど、これはちょっとなあ。元々はプレステ用のゲーム「ICO」で、それに惚れ込んだ著者がノベライズしたものということなので、いかな宮部みゆきといっても限界があるのかも。
 少年が霧の城へ乗り込んでいって、黒魔道と闘い姫を助け出すという絵に描いたようなストーリー。ぼくはコンピューターゲームはまったくやらないので、テレビゲームというと初代ファミコンしか知らないほど無知なのだが、ゲームならばこそ迷路のような城内を行きつ戻りつしたり、秘密のカギとか武器を探したりするのだろう。その自発的に参加する部分が小説になるとなくなってしまうのが平板な印象の原因だろうか。
 中盤の回想部分、騎士だの導師だの魔道だのが出てくるところはグイン・サーガを読んでいるよう。良くいえばなつかしいけれど、悪くいえばあの超大作の焼き直しというか二番煎じ。まあこのへんも原作があるのだから仕方ないのだけれど。
 それともう一つ、主人公のイコが幼なすぎる。生贄として村に幽閉されているときは、わりとしっかりした少年という感じだったのに、後半のヨルダを救って逃げまどうあたりの会話はまるで駄々をこねている子供だ。違和感ありまくり。ファザコンのヨルダはまだ許容だけど、これがあの少年少女を書かせたら天下一品の宮部みゆきかと首をかしげてしまう。こんな寄り道してないでドリームバスターの続きを早く読みたいんだけど...。

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