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2011年4月20日 (水)

「沈黙の教室」

★★★☆☆。
 著者が折原一というだけで身構えてしまう。そういう先入観がプラスの場合もマイナスの場合もあるだろうけれど、この作品に限ってはずいぶん損をしていると思う。なあんだという感じ。
 いわくありげな中学3年のクラス。そこに巻き起こる「粛清」という名のいじめ。それが20年後のクラス会に報復となってあらわれる。というような筋書きだ。物語は中学校時代の過去と現在が交互に語られてゆく。現在の部の主人公は事故で記憶喪失した男で、彼の自分さがしの過程で、報復殺人計画を練っていたらしいことからその中学校関係者ではないかという推測で、過去の物語とつながってゆく。
 ミステリではなくサスペンスなのだろうな、これは。だいたい雰囲気はおどろおどろしいけれど実際には事件らしい事件はほとんど起こっていない。中学校時代の粛清主謀者は誰かとか、それに対する現在の報復者は誰かとか、謎は謎としてあるのだけれど、いずれもそれほど物語の主題ではない。中学校でのわけのわからない恐怖感とか、記憶喪失者の自己探索とかのサスペンス性が主題なのだと思う。でも、叙述トリックの第一人者が著者なので、だまされないようにだまされないようにとつい細部の表現まで注意深く深読みしてしまう。それがどんでん返しもなくすんなり終わってしまうのだからまさに肩すかし。
 それに、主要人物と思わせぶりな番長が結局なんの関係もなかったりとか、読み終わっても折り合いのついていないことがいくつかあって気になる。続編があるという話だけど、これだけ読んだら中途半端な印象は否めなく減点要因になっている。やはりこの著者には目くるめく叙述トリックを期待したいよな。

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