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2011年5月 3日 (火)

「名残り火」

★★★★★★。
 え、星が一つ多い?、そんなことに文句がある人はとにかく本書を読んでからにしてほしい。
 ぼくはこれまで何千冊本を読んだかわからないけれど、どんなに数多くの本を読んだとしても、藤原伊織に巡り合わなかったら、その読書人生は何の価値があるだろうと思う。藤原伊織を読める幸せ、そしてもう読めない悲しみ。それを何といって表現したらいいだろう。遺作とはなんとむごいものか。彼の死の4ヶ月後、2007年9月に刊行された本をすぐに買って、読んでしまうのがもったいなくてもったいなくて、今までじっとしまっておいたのがこれ。もうこれっきりだ。
 この著者の作品に出てくる男は、いや男も女もだ、どうしてこんなにもカッコいいんだろう。「てのひらの闇」の書評に書かれた文章、『「てのひら闇」に出てくる男は皆美しい。呑んだくれでも、エリート社員でも、昔かたぎの極道でも、社会の暗部の泥さらいをしているような敵役でも。それは彼らが皆譲れないものを大切に抱えて生きているからだ。』がすべてを語っている。「テロリストのパラソル」、「ひまわりの祝祭」、「てのひらの闇」、そのどれでもいい、読んだことのある人ならきっとうんうんわかるわかるとうなずくに違いない。彼らの生き方に心を動かされない人がいるとしたら、そんな人とはぼくは永久に他人だとさえ思う。男としていや人間として譲れないもの、ときには法を犯してさえ守らねばならないもの、そのために生きるのでなければ何のための人生か。生きるということは、飯食って糞して寝ることの繰り返しではけっしてない。くっそぉ~オレだって負けないぞ、と生きる勇気が湧いてくる。
 男として、なんていうと怒られるよな。本作の主人公はあの「手のひらの闇」の堀江雅之、そして死んだ盟友柿島隆志。だけど、この物語の最後の壮絶な終幕を演じ切ったのは、ひとりの女性なのだから。心に熱い思いを抱いて生きているのは男も女も変わらないのだろう。ここに登場する三上照和、関根新吉、柿島奈穂子、大原真理、ナミちゃん、それぞれがみんな圧倒的な存在感でそれぞれの人生を生きている。そのひとりに自分も混ぜてほしい、自分の存在もカウントしてほしい、と切に思う。そうでなくて生きる価値などない。
 今日のランニング。30.0 km/202 min。今月の累計距離 30.0 km。

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