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2011年5月 6日 (金)

「オジいサン」

★★★★☆。
 なんとも不思議な小説だ。老人小説なのだそうだ。とすればぼくが読むべき小説ということになるから、読んで感心したとて何の不思議もない。いやでもやっぱり不思議な小説だ。
 タイトルからして「オジいサン」。この真ん中のひらがなの「い」にこだわりがあるのであって、断じて「オジイサン」ではない、と主人公の益子徳一は言う。小説全体がこの独居老人の日常生活、公園に行ったり、スーパーで買い物したり、自炊したり、近所の人と話したり、を綴っただけのもの。ほとんど起伏もない。それでいて、言うに言われぬおかしみがある。徳一じいさん、ではないオジいサンのこだわりがあちこちにみられて、単なる日常風景の奥行きになっている。こんなじいさんに自分もなりそうだ、というような親近感がある。最後の田中電気の二代目に「じゃあ、オジいサンでもいいです」と言われたシーン。“―そ。その発音だよ田中電気。それが正しい発音だ。” 思わず膝を叩いて喜びたくなる気持ちが伝わってくる。
 この著者には余芸というべきものだろうが、ぼくは「幽談」やら「冥談」やらより気に入った。ぜひ続編を読みたい。

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