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2011年5月 9日 (月)

「死神の精度」

★★★☆☆。
 短編集は難しいものだ。伊坂幸太郎も前回の「チルドレン」に続いてこれを読むとそう思う。「オーデュボンの祈り」や「ラッシュライフ」にしても、全体が短いエピソードの積み重ねからできているから、連作短編とそう構造的に変わらない気もするけれど、やはり根本的に違うんだよな。それぞれの各短篇間の連鎖が希薄になるほど奥行きが少なくなり、かといって独立した短篇として評価できるほど成熟していないというか、悪くいえば中途半端。
 本書は、千葉という名の死神が与えられたターゲットの調査を行い、「可」か「見送り」かの判断を下すというもの。相手がそれぞれ抱えている事件に千葉が巻き込まれての意外な結末や、その中での千葉と相手の今ひとつかみあわない会話を楽しむ、といった体裁になっている。6編のうち前半ははっきりいってあまり感心しない。吹雪の山荘ものなど、なんでこんなところにもってきたのだろうと違和感ありまくり。でも、後半3作はわりといい。「恋愛で死神」はぼく好みで泣かせるし、ラストの「死神対老女」での作品間リンク回収も気が効いている。ここでこういう結末をもってくるのなら、もう少し他の作品に共通する伏線を張りめぐらせて連作感を強調できなかったものかと思ってしまう。なんて高望みするのもこの作者ならではの特質を買っているからなのだけど。

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