« トイレットペーパー | トップページ | 50000アクセス »

2011年5月13日 (金)

「いっしん虎徹」

★★★☆☆。
 虎徹好きなのだろうな、この作者。前回読んだ「千両花嫁」にも近藤勇が虎徹を求めるシーンが象徴的にでてくる。これはまた何というか、鉄を打って刀にするというそれだけの話が延々と500ページも綴られてゆく。おまけに巻末に刃紋と特徴とか銘の変遷とかの図入りだ。文庫本でここまで凝るかという感じ。
 鉄の良し悪しの吟味からそれを刀剣に加工するまでの工程が、これでもかこれでもかというばかりに詳細に語られる。いくつかのサイドストーリーというかエピソードがそれにからまって物語を構成しているのだが、それらはすべて虎徹こと長曽祢興里の刀鍛冶の出来具合いに集約される。それだけの単純な話なのだ。
 だがしかし。単なる鉄、されど鉄。精密な分析機器があるでもない時代に、経験と勘だけを頼りにどんな精密機器よりも確かに鉄の性質を知悉し鍛え上げた工人がいたかという、これは類い稀な物語でもある。出来上がった刀の品質表示に、人体を何人積み重ねてスッパリ切れたかという尺度が用いられ、それが刀剣の価値を示すお墨付きだったなどというのも鬼気迫る話ではある。

« トイレットペーパー | トップページ | 50000アクセス »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

CLICK !

  • おもしろ有機化学ワールド



twitter

2024年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ