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2011年7月 1日 (金)

「幽霊人命救助隊」

★★★☆☆。
 いつのまにか高野和明も4冊目。これはまた、なんというかジャンルなのか。パロディというか風刺というかドタバタコメディというか、全然これまでの印象と違ってあれれという感じ。まあ著者の懐の広さを表した作品とはいえるか。
 それぞれの事情で不用意に死を選んだ自殺者4人が宙ぶらりん状態におかれ、天国へ往生するために神様から地上へ幽霊として舞い戻って7週間に100人の自殺者を救うという使命を与えられ、あの手この手で自殺防止をするという荒唐無稽な筋書き。元ヤクザと会社員と家事手伝いと大学浪人という4人のキャラが立っているので、それぞれが協力しあったり反発したりしながら徐々にチームワークを高めていくやりとりが楽しい。ぼくはヤクザの八木が大好きだ(笑)。
 それぞれ自殺した時代が少しずつずれていてその時点で時計が止まっているので、会話に古い時代背景とかギャグとかがポンポンでてくるのがまたおかしい。これが楽しめるのは昭和世代だろうけれど。自殺願望者への働きかけグッズもいろいろあって、大声出すと相手の思考をあやつれるメガホンなんてのは、そうだよ「魔王」の安藤を思い出してしまう。まあ馬鹿馬鹿しいといえばそれまで。
 ただし面白おかしいだけではなく、現代の自殺願望者が追いつめられてゆく様子やその対処法などがメインのテーマなのでそれぞれのエピソードは結構重い。社会のひずみとか教育問題とか大企業銀行優遇政策とか、個人の責任だけでは論じられない構造的問題に対する風刺がピリリと効いていて考えさせられるところも多い。
 というわけで社会風刺を効かせたギャグ小説という点では及第点なのだけれど、最大の問題は長さだろう。え、このテーマだけで最後まで行くの?と思ってしまう。内容的には結局は同じことの繰り返しでしかないし、この長さが必要だとはとうてい思えない。もっとコンパクトに刈り込めば星ひとつ増えたのに。

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