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2011年8月16日 (火)

「七回死んだ男」

★★★★★。
 この著者は初めて読んだが、むう~んと唸らされた。そもそもの設定が荒唐無稽とリアリズム派からは総スカンを食らいそうだけれど、こういうのぼくは好きだ。
 同じ日を9回繰り返す「反復落とし穴」というのが事件の鍵になっている。主人公である高校生大庭久太郎は、この特異体質の持ち主で、自分で意図しないある1日が突然反復する「反復落とし穴」に落ちてしまう。その間は同じ1日を9回繰り返す、つまり夜12時になると同じ1日が反復し、その最後の9回目がその1日の決定版として歴史に残って次の日へ進むという設定だ。9回の反復の間は基本的に同じことが繰り返されるが、自分の意志でいくらか変えることもできる。ただし、歴史の流れを保存しようという大きな意志?が働くので、あまりの逸脱行為は許されない。9回は多すぎるけど、自分の意志でやり直しがきくのだからこれは便利だ。なので難関進学校の入試日に落とし穴に落ちた久太郎は、同じ試験を9回受けるうちに当然ながら学習して満点の成績で受かったりする。
 さて本文は、その「反復落とし穴」の日に家庭内の遺産相続問題がからんで祖父が殺されるという事件が起こったという設定だ。久太郎少年は祖父が殺されないように反復の期間にあれこれと手段を尽くすのだが、歴史の流れの圧力はさるもので思いもかけないことからどうあがいてもやはり祖父は殺されてしまう。反復の最後の1回にいたって苦心の努力が実り、無事に祖父は翌日まで生き延びることになったのだが、なんか変だ。そこで明らかになる意外な真相はという結末。
 久太郎とその謎解きをしてくれる人との関係がアクセントになって物語に色を添えているというようなことは、ネタバレになってしまうのでこれ以上は書けないけど。読んで、北村薫の「ターン」を思い出した。似たような設定を考える人はいるのだろう。あれもまたベタ甘のラストシーンだったよな、あれはあれで好きだった(笑)。

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