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2011年8月 2日 (火)

「宿命」

★★★★☆。
 今から20年前、デビュー5年後の若かりし時代の作品。ぼくは好きな作家はだいたい年代を追って読む主義なので、東野圭吾も今のところ初期作品ばかり読んでいる。さすがに古くさいし、生硬というか熟してない若書きっぽいところがあって読んでいてひっかかる。最近読んだ「変身」、「眠りの森」なんかにそれは共通する感想だ。だけど、この作者ただ者ではないとは思う。いずれの作品も読み終わって読み手の心に何かが残る。だから、次を読んでみようかという気になる。読み捨てで終わらない何かがあるからだ。以前、読書家の学生が、読んでも何も残らないと「謎解きはディナーのあとで」を酷評していた。あれはあれでわははと笑って読めばいいんだよとぼくは答えたけど、東野圭吾なら彼女のお眼鏡にかなうのだろうな、という気がする。
 家庭の事情で医学部進学を諦め、恋人とも別れて、心ならずも親の後をついで警察官になった和倉勇作。その子供の頃からのライバルで大企業の御曹司の瓜生晃彦。その瓜生家で起こった殺人事件の捜査に勇作が加わったことで、両者が劇的に再会する。あのとき別れた恋人は晃彦の妻となっていた、なんて書くとおいおいと言いたくなるような偶然すぎる筋書きだ。だけどそこで驚いていてはいけない。殺人事件の真相なんて実はどうでもいいので、この宿命のライバル同士がなんと...、というところが本作の眼目なのだ。最後の一行そのものが意外かどうかはともかく、まさに宿命を感じさせる。感動的な意外性もさることながら、読後感は悪くない。いや、いっそ爽やかと言っていいだろう。
 今日のランニング。7.1 km/44 min。今月の累計距離 7.1 km。

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