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2011年10月10日 (月)

「下町ロケット」

★★★★★。
 言わずと知れた本年度上半期直木賞受賞作。熱いなあー、こういう本を読みたかったんだよ。まさに読み出したら止まらず久々の一気読み。そして最後は泣いた。これが泣かずにいられようか。人生は金勘定じゃない、安定、保身、くそくらえ。夢を追わずして何のための人生か。そんな男たちの熱い物語だ。
 本当は下町の町工場が自前のロケットを打ち上げるという夢物語かと思ってた。さすがにそれは現実味がないか。あの東大阪のまいど1号だとてロケットではなく搭載衛星のことだしな。もちろんそれでもすごいことだけど。実際は経済小説とまではいかないまでも企業同士の虚々実々の駆け引きが中心の人間ドラマだった。
 ロケットエンジンの心臓部である燃料供給部のバルブシステムを開発した中小メーカー佃製作所。その技術力は折り紙つきだが、弱小企業だけに大企業からの嫌がらせに近い圧力を受け、一時は経営危機にまで陥る。それをはねのけて最後は前例のない国産ロケットへの部品供給という夢を実現させたのは、佃社長を初めとしてそれを支えた部下、同僚たちの熱い闘いだ。必ずしも一枚岩とはいえなかった社内が外圧にさらされるうちにまとまってゆくさまは感動的だ。技術者としてのプライド、人間として譲ることのできない矜持、そして何より自らが精魂こめて作り上げた製品への思い、損得勘定を越えた人としての生きざまが心を打つ。主人公佃航平の熱意はもちろんだけど、ぼくは影の主人公はトノサマバッタの殿村だと思う。あの胸のすく啖呵。よくぞ言ってくれたと拍手喝采しない読者はまずいないだろう。
 フィナーレのロケット打ち上げのカウントダウン。小説だものうまくいくさとは思っていても、思わず手を握り締め固唾をのんでうまくいけうまくいけと祈らずにはいられない。夢物語さ、だけどいいじゃないか。これはすべてのがんばっている人への応援歌だと思う。よしがんばるぞ、負けるものかと勇気が湧いてくる。

 今日のランニング。12.1 km/74 min。今月の累計距離 42.3 km。

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