「女王国の城」
★★★☆☆。
江神二郎ものの4作目。なんでいつもと思うような孤立シチュエーション。火山、孤島、芸術家村ときて、今回は木曾の山奥の宗教施設。そこで起こる連続殺人事件に巻き込まれる英都大推理小説研のメンバー。
まあここまでくるとマンネリ感は否めないね。山奥に忽然と建設された近代的な宗教施設と宇宙人探索などと舞台は凝っているけれど、肝心の事件自体はかなりお粗末。もみ消しに走る宗教側と脱走を図る推理研メンバー、いくら山奥の村とはいえ情報的な孤立設定は不自然だし、それが延々と繰り返されるのが長すぎる。ひけらかされる過去のミステリ作品の蘊蓄もすべて不要とはいわないけれど、そういう本筋とは関係ない部分が多い。あっと驚くトリックもないし、犯人も地味すぎて拍子抜け。所在が明らかでなかった教祖様が最後に颯爽とあらわれるところはなかなかの見せ場だけれど、まあそれだけだな。これなら「双頭の悪魔」の方がずっとよかった。
このあたりがこの著者の限界なのかなあ。新本格って頭数は多いけれどどんぐりのせい比べ。一頭地を抜く人材がいないような。
今日のランニング。14.2 km/99 min。今月の累計距離 115.0 km。