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2012年1月19日 (木)

「ナイチンゲールの沈黙」

★★★★☆。
 なんか今年は星4個が多いな。無難な作品に当たり障りない評価をするとこうなってしまう。これでは評価になってない。さて、「チーム・バチスタの栄光」に続く東城大学医学部付属病院不定愁訴外来田口公平講師活躍記第二弾(長い)。二作目の宿命か読者の評判は前作よりガタ落ちの本作だけど、ぼくにはとてもおもしろかった。
 バラバラ殺人事件は起こるものの、ミステリといえるほどの謎解きはなく、バラバラにする必然性は?だし、犯人もわかってしまうし(というか隠されていない)、事件までの前置きが長すぎるし、そこに出てくる超常現象がまた科学的説得力に乏しいし、と問題点をあげつらえばいくらでもホコリは出てくる。チーム・バチスタに出てきた厚労省の白鳥が後半にまた登場して引っ張り回すというパターンは同じなのだが、その知り合いで警察庁の加納警視正というのが新たに登場して、キャラを食い合っているのがまた大きなマイナスポイントでもある。もうひとついえば、準主役たる看護師浜田小夜の心情にいまひとつ共感しにくい部分があるのも評価を下げる原因だろう。まあこの点に関しては、若い女の子の行動なんかおぢさんに理解できっこないよといわれればその通りだけど(笑)。
 という具合に欠点ばかり目立つのに何で星4個もついたのか。これは何より田口先生の魅力だよ。行灯先生?とんでもない。気配りもでき、行動力もあり、やさしくて人間的。医は仁術の鑑ではないか。そして彼をめぐる周囲とのやりとりがすこぶる面白い。ことさら事件なんか起こさなくてもいいのにと思うくらい。藤原看護師との抜群の呼吸、高階院長、猫田師長ら気の抜けない多士済々のスタッフたち。それに本作ではひときわ輝いている小児科病棟の難病の子供たち。瑞人、アツシ、由紀、秀正、みんな可愛い。瑞人が由紀に屋上に海を見せに行くシーンがあるよね。「神様のカルテ」は絶対このパクリだよな。タッチの差であんなに望んでいた海を見せてあげられなかった。悔しかった。だからこそ、安曇さんには山を見せてあげたかった、夏川草介がそう思ったかどうか知らないけれど、ああ、あれはよかったなあとぼくはちょっとほっこりした。

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