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2012年2月 2日 (木)

「99%の誘拐」

★★★★★。
 岡嶋二人は、ずいぶん昔に「クラインの壺」を読んで以来久しぶりだ。文庫のカバーを見ると講談社だけでも30冊近い著作があると知ってびっくり。全然読んでない。
 これは誘拐物。昔起きた子供の誘拐事件が遠因になって、新たな誘拐事件が起きる。いずれも警察の努力にもかかわらず身代金がまんまと奪われる代わりに人質は無傷で返されるという結末。昔の事件はさておき、新しい方がふるっている。なんせ犯人が直接関与していない。子供の誘拐から身代金の受け渡しまですべてコンピュータを使った遠隔操作で行われる。子供はネット上のオンラインゲームで誘い出され、自動ロックで監禁された上でパソコンの画面上の指示に従わされる。家族への連絡はコンピュータからの人工音声の電話で、しかも基地局への遠隔操作で発信されるという念の入れよう。身代金をもって指定の場所への運び役への指示もすべて用意されたパソコン上へのメッセージ。ネットやコンピュータの知識の深さと周到な準備の上に事件が構築されている。
 結末や犯人像はともかく、う~むこういう時代になったのかと感心させられる。ところがどっこい、これはなんと1988年の作品なのだ。今でこそ十分ありうるテクニックだと思うけれど、24年前ならどうだろう。荒唐無稽とまではいかなくても斬新な近未来小説だったのだろうな。それを思えば「クラインの壺」はもっと先進的な未来科学小説っぽいところがあった。こういう科学的な新しいおもしろさというのは他でなかなかお目にかかれないユニークな点だ。こういう作品がもっとあるのなら少し読んでみたいと思う。

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