デュアル・モード・ビークル
昨日の日高本線のニュースで思い出したが、JR四国牟岐線の末端区間阿波海南~海部が8月11日に廃止申請が出されて、予定では8月31日だが繰り上げ可能であればより早く廃止になるそうだ。事情を知らない人はまた急なと思うかもしれないが、実際はこの区間は海部~甲浦を運行している阿佐海岸鉄道に移管されることが決まっている。つまり、両者の接続駅が海部から阿波海南に変わるだけだということだ。
なんでそんなややこしいことをするかというと、阿佐海岸鉄道は今年度中に鉄道と道路の両方を走れるデュアル・モード・ビークル(DMV)の導入を決めており、鉄道の両端駅から道路に下りて近郊を乗り換えなしで結ぶ計画となっている。そのために海部駅では構造的に道路との接続が難しいので、阿波海南~海部間をJRから譲り受けて一駅徳島寄りの阿波海南駅で道路接続をすることとしたわけだ。
導入が決まっている珍妙なボンネットバス型をしたDMVは、そもそもはJR北海道がローカル線の接続改善用に試作したものだ。それが大元の北海道ではとても実用化困難となったのに、かえって道外で注目され、遠く離れた四国で陽の目を見ることになった。せっかくの技術が実用化されるのは喜ばしいことだが、しかし大丈夫かな。
阿佐海岸鉄道はJRの末端駅海部からたった3駅8.5キロしかない路線で、徳島県海陽町の海部駅と高知県東洋町の甲浦駅を結んでいる。東洋町は高知県の東のはずれで、隣接自治体である室戸市中心部からは遠く、徳島県に編入した方がよさそうな位置にあるとはいえ、県を越えると乗客流動も限られるだろう。乗客の利便性を考えて両端駅で道路に下りてアクセスを改善するにしてもどれだけ意味があるか。しかも中間の鉄道区間が8キロほどならば全部バスにしてしまった方がいいような気がする。
世界初のDMV実用化という話題つくり、それと甲浦から遠く室戸岬方面へ足を伸ばして観光客をひろう意図もあるようだけど、あのボンネットバスで室戸岬まで走るのか。徳島方面からはどっちみち阿波海南駅で乗り換えなければならないのだから、いま甲浦駅でバスに乗換えるのと手間は変わらないわけだし。
ぼくとしては、あのあたりはお遍路で歩いたところなので親しみがあるし、JR北海道発祥の技術ということでもあり、できることなら成功してほしいと思うけど、どうなることか。
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