プロ棋士の詰将棋
大方の人は、詰将棋というと新聞や週刊誌の片隅に載っているもので、将棋(指将棋)の終盤の詰筋から派生したパズルと思っているかもしれないが、もともとの由来はともかく現代詰将棋は共通するのは盤駒とルールだけで指将棋とはほとんど別物の創作物といっていいと思う。
プロ棋士の中にも詰将棋作図の名手はたくさんいて、現役棋士に限っても谷川浩司九段を筆頭に、斎藤慎太郎八段、北浜健介八段、船江恒平六段など詰将棋パラダイス誌に何度も入選している人も少なからずいる。あ、もちろん藤井聡太二冠も忘れるわけにはいかない。
これらのプロ棋士の詰将棋は筋のいい正統派であり、解図には棋力と読みが必要とされるものが多い印象がある。それとは別に詰将棋には何らかの狙いをもった趣向作というものがあって、それは棋力とは別の要素が大きく、鍵となる狙いを見つけ出せればぼくのような低棋力者にも楽しく解くことができる。
詰将棋パラダイス11月号で結果発表(出題は8月号)された齋藤光寿三段の詰将棋はまさにそういう作品だ。この号では一挙4題もの詰将棋が掲載されているが、いずれもがおもしろい。手数が長いものもあるが、多少ややこしくはあっても難解なところはなく、注意深く手順を追ってゆけば正解にたどり着ける。努力が報われて解後感もよい。理想的な詰将棋といっていい。今後に期待するところ大だ。
こういう趣向作を志向しているプロ棋士は貴重な存在だと思うが、そこで忘れるわけにいかないのが宮田敦史七段だ。宮田七段といえば解図のエキスパートであり、近年藤井二冠の5連覇で話題になった詰将棋解答選手権で過去6回も優勝している実力者だ。その宮田七段が最近は詰パラに精力的に新作詰将棋を発表しており、これがまたバラエティに富んだ趣向作が多い。こういう作品をプロ棋士が創ってくれるのはうれしい。
その中でとびきりの作品をひとつ紹介したい。下図は詰将棋パラダイス2020年7月号詰将棋デパート1番の17手詰。持駒も多いし見るからに難しそうと尻込みする必要はまったくない。16玉と逃げられては困るしさりとて18飛とは打てないので初手は27金しかない。同玉の一手に次も37金と打つしかないと考えていくと、結局7段目を順に左辺に引き寄せていくしかないことがわかって最後は97玉まできてぴったり詰むという趣向。気づいてみれば簡単で初級者にも難なく解ける。そして何より楽しい。
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