第41回石橋湛山賞
このほど、著作『日米地位協定――在日米軍と「同盟」の70年』(中公新書、2019年)で第41回石橋湛山賞を受賞された琉球大学の山本章子准教授のことがニュースになっていた。
授賞式は10月23日なのになんで今ごろと思ったら、大学Webページに掲載される受賞コメントの、
「地位協定の最前線に立たされるのが国ではなく自治体であることがこの問題の本質。国が国民を守らないから、地方自治体が住民を守るために苦心しなければならない」、
という部分が大学側に当初問題視され、「誰が見ても誤解を生じさせない内容にする必要があった」という理由で、表現を改めるよう要請されたのだが、受賞者の拒否によってそれが撤回されて、結局12月1日になってそのままの形で掲載されたという話だ。
原文はしごく妥当な内容で、誰が見ても誤解が生じようがないわかりやすい表現としか思えないので、そのまま掲載されることになったのは当然だろう。沖縄の米軍基地問題については、国と県の意見が合わない部分が多々あるし、こういうことがあると琉球大は国立大学なので国の方針に配慮しなければならないこともあるのではと勘繰ってしまう。もとより学術研究は国にも県にも媚びずに独立してあるべきものであり、毅然とした山本氏の姿勢は当然としかいいようがないが。
この受賞著作は実はぼくも読んでいて、感心した話はブクログに書いた。とても読みやすく考えさせられる。未読の方はぜひご一読をお薦めしたい。石橋湛山記念財団のwebページにあった受賞者略歴によると、氏は北海道出身とのこと。同じ道産子の一人としてまことに誇らしい。受賞おめでとうございます。
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