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2021年2月 5日 (金)

無駄合問題(その2)

 以前書いた無駄合問題の続き。
 詰将棋パラダイス2月号の感想記事をまだ書いていないけれどそれはまた後ほどとして、前回と似たような問題が出てきたので、こちらをフライング記事として書いてしまう。

 問題は2月号で結果発表されている昨年11月号掲載のヤング・デ・詰将棋(知らない人はなんやそれと思うだろうが、中級者向けのコーナーの名前)の1番おおた葉一郎氏の作品(左図)。これは68飛打49玉38銀打59玉以下の軽妙な13手詰なのだが、3手目の38銀打に対して同銀成ととると、以下同銀39玉48角38玉93角成と進んだのが右図。48にいた角を93へ成って空き王手をしたところだ。ここが9手目で、以下49玉なら48馬まで11手駒余り、29玉なら83馬19玉17飛まで13手駒余りで詰む。いずれも13手以内で駒余りなのできちんと割り切れている。

 

210205a 210205b
左図(詰将棋パラダイス2020年11月号ヤング・デ・詰将棋1番おおた葉一郎氏作)、右図(その変化図)

 

 ところが、右図の局面で48歩合と合駒をする手があるのではというクレームがついた。結果、合駒によって2手延びの変長(変化長手数駒余り)が成立し、不完全作として入選取消になってしまった。う~む、それでいいのだろうか。48歩合を同飛ととってみる。29玉と逃げれば先ほどと同様に追って、17飛まで確かに15手駒余りになる。しかし手数が延びるが取った歩がそのまま余分に余るので、これは単なる手数稼ぎの無駄合だろう。

 一方、48同飛には39玉と逃げる手が生じる。これは48の飛車で馬筋が遮断されて生じたもので、合駒の効果といえる。しかし39玉には69飛と引く手があって1手詰みだ(トータル13手駒余り)。その他の変化はない。つまり、合駒によって効きが遮断された王手駒(飛車)で取って、そのまま2手延び合駒が余分に余るか、新たな逃げ方をしても同手数駒余りで詰む。これはそもそも48歩合が無駄手とみなされることになり、なんの問題もないようにみえる。

 前に書いた問題と似ているが、あのときは王手駒(馬)で合駒を払うと本手順と違う手数を踏まないと詰まなくなり、もうひとつの効きの駒(龍)で取ると、2手延び合駒余りで詰むということだった。なのでこの合駒は無駄合ではなく有効合だろうと判断した。だけど、今回のケースは上記のようにしごく単純で、どう考えても無駄合に思える。無駄合だとすれば変長にはならないはずだし、これが入選取消はかわいそうじゃないかなあと思う。

 

 

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コメント

こんにちは。それを指摘した張本人です。
93角成に29玉だと、83馬だと38歩合以下15手駒余りになるので、18銀、19玉、82馬迄13手駒余りが正しい順だと思います。
なので93角成に48歩合、同飛、29玉とすれば18銀に39玉と指せ、69飛迄15手駒余りとなります。

コメントありがとうございます。
いつも素晴らしい作品を楽しませていただいております。
83馬に38歩合はまた似たような話でややこしくなるので省略してしまいました。
38歩合を王手駒(馬)で同馬と取って19玉と逃げると、元手順の17飛には18合が効いてしまうので、28馬と別手順で15手合駒余りとなります。さらに合駒効果で38同馬に対して18玉という新しい逃げ方もできているので、この場合の38歩合は有効合と考えるわけですね。
一方で18銀の方は、それこそ39玉という合駒効果の新しい逃げ方が生じて69飛という別手順が必要になるので、この場合も48歩合は有効合と考える...。
いずれの場合も、合駒を取って単に同手順2手延び合駒余りではなく、元手順とは異なる手順での詰め方が必要になるので有効合と判定する、ということになりますか。
確かに厳密に「無駄」かどうかを解釈すれば理にかなっているような気がしてきました。もう少し考えてみます。
ご教示ありがとうございました。

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