いずこも同じ
JR西日本の長谷川社長が2月の定例会見で、低収益のローカル線について廃止も含めて今後の在り方を見直し、地元と議論を進めていく考えを明らかにしたそうだ。具体的にどこが対象かという線区名は出なかったが、ネット上ではいろいろと俎上に乗りそうな路線が取りざたされている。
タビリスの記事には、JR西の「データで見るJR西日本2020」に掲載されている2019年度の線区別輸送密度が低い順に紹介されていて次のようだ。
芸備線 東城~備後落合 11
芸備線 備中神代~東城 81
大糸線 南小谷~糸魚川 102
福塩線 府中~塩町 162
因美線 東津山~智頭 179
木次線 備後落合~宍道 190
200を切っているのはこの6区間だが、大糸線以外はすべて中国地方の山間部のローカル線で、トップの芸備線(東城~備後落合)の11という数字は全国のJR線でも最低だそうだ。
全国で最低ということは北海道の赤字線以下ということだから相当なものだ。ぼくは全国の鉄道を完乗しているので当然これらの線区にはすべて乗ったことがある。昔のことなので記憶が不確かなところもあるが、芸備線の備後落合以東の閑散区間はよくおぼえている。道後山あたりは山あいの高いところを通って眺めのいい区間なのだが、人跡稀なというしかないところで、当然のように車内は貸切状態だった。考えてみれば木次線の南部や福塩線北部も似たようなものだ。今ではもっと状況は悪化しているのだろうし、廃線候補に挙がっても不思議ではない。
JR西日本は数年前に近くの三江線をばっさり廃止した前例があるので、本腰を入れて取り組んだら上記の線区はいずれも予断を許さないだろう。中国地方の山間線区はいずれも両端が別の線区につながっていて通り抜けできるので、JR(国鉄)線乗りつぶしをしていたころは、どうやって効率よく一筆書きで乗るかと頭を悩ませたところでもある。路線廃止でそれがずたずたに寸断されたら行き止まり線区ばかりになって、そういう楽しみも失われてしまうな。
一部上場企業であるJR西日本ですらこうなのだから、零細企業たるJR北海道や四国などが赤字路線の存廃問題に力を入れるのは無理からぬところだ。国鉄時代に国策で開通させた路線を民営化して同じように経営維持させようというのがそもそも無理な話だったというしかない。
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