詰将棋パラダイス3月号、到着日は3月1日。まずは表紙にびっくり。なんと懐かしいお名前。50年ほど前に購読していた頃にスリップしたかのようだ。作品もなかなかのもの。若手の意欲作もいいけれど、こういうベテランの手練れ作も捨てがたい味わいだ。
結果稿は12月号分で、詰将棋学校はお休み。その代わりに短編コンクールがあった。7手詰が50題。解いてみたとき、なんか低調じゃないかなと思ったけれど、総評をみると同じような感想がちらほら。どこかで見たようなというのが多く、7手という短手数でアッといわせるのはもう至難の業なのかもしれない。
今回、ぼくは評価基準を変えて、水準作をC、ちょっといいなと思ったのをB、これはいいと思ったのをAとしてみた。前にも書いたけど、水準作をBとしてしまうと、C評価がほとんどなくなって、事実上2段階評価になってしまうからだ。それでは評点に差がつきにくく、点数を争うコンクールにはそぐわない。実際、今回の結果で18位作と19位作の差はわずか0.0005で、こんなのは指運以下で有意な差ではないだろう。
その結果ぼくがつけたのは、A評価10題、B評価24題、C評価16題となった。ちなみにAをつけた10題のうち、シード圏内の15位以内にはいったのは6題だった。まあ見る目がないというよりは好みの問題だということにしておこう。ぼくの中でのトップ作はというと39番だろうか。バッテリーを開くとみせて邪魔になる手前に角を打ち、最後は角連結で仕留めるという意外性。もうちょっと上位にくるかと思った。
お次は同人室。ここはベテランの作ばかりなので、妙に力が入るということがなく、手数が長めのものも考えやすい作品が多くて楽しい。毎回テーマに沿っているのでそれもヒントになるし。今回は12番と15番が解けなかったのは残念。15番の海老原さんは好きな作家なのだけど、序の難しさに苦戦。なんとか15銀同銀23飛同馬同との手順を見つけて解けたと思ったのだけど、よくよく見直すと14玉とかわす手があってそれがどうやっても詰まず白旗。宮田七段の短評をみて、あこれはぼくには無理だわ、と納得した。
飛んで末尾の神無一族の氾濫。フェアリー詰将棋のコーナーは6月と12月だけこういうコーナーになっている。いつもの月よりもコアな作品が並ぶという印象なので、ちょっと引いていたが、今回はパズルもどきでおもしろそうな天使詰(既報)があったので、ほかのも挑戦してみた。とてもおもしろかった。4題正解は望外。4番の打歩協力自玉詰は、詰上りは見えたんだけど、打歩の支え駒が考えつかず無解。そうか龍をもってくればいいんだ。香打で飛合させる手は考えたから、もう一押しだったな。それより、メール解答したらていねいに受取メールが届き、差出人をみて仰天。知らなかった。
今月の1作は、創棋会作品展から1番野曽原直之氏作。「ピン」という課題作のひとつ。最近の詰パラは、ピン、ペレ、シフマン、ルントラウフなどなどチェスプロブレム用語が頻繁に出てきて、チェスになじみのないぼくはついていくのが大変だ。まあ、日本語でも香先香歩だの不利先打だの森田手筋だの、説明抜きで使われる業界用語が多く、このあたりが入門者に敷居を高くしていなければいいのだけど。ピンというのは飛角香の効きの上にあって動けなくなっている駒を指すようだ。本作は綱渡りのような手順が見事な9手詰。7手詰は限界かなどと上に書いたけど、2手延びると違うものだな。
詰将棋パラダイス2020年12月号
創棋会作品展1 野曽原直之氏作