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2021年3月 6日 (土)

天使詰

 フェアリー(変則)詰将棋のひとつに天使詰というのがある。普通の人は聞いたことがないと思うが、ぼくも詰将棋パラダイスの昨年12月号を見るまでは知らなかった。調べてみると、もともとは悪魔詰というのがあって、天使詰はそのバリエーションらしいことがわかった。では悪魔詰とは何か。

 ふつうの詰将棋は攻方が最短で詰ませようとし、受方ができるだけ詰まないように応じる。以前話題にしたばか詰(協力詰)は攻方は同じだが、受方もできるだけ詰むように応じる。これに対し、それを逆転させて攻方、受方ともにできるだけ詰まないように最長の手順をもとめるのが悪魔詰だ。もちろん攻方は王手を続けなければならない。受方はともかく攻方ができるだけ詰まないように指す、なんてことができるのかと思うが、それができるのだから不思議だ。天使詰もその仲間なのだが、実のところ悪魔詰と天使詰の違いはぼくにも今一つよくわからない。まあ悪魔と天使は紙一重なのだろう。

 例を挙げた方が早い。図は詰将棋パラダイス2020年12月号の神無一族の氾濫(フェアリー詰将棋のコーナー)の5番、一乗谷酔象氏作の天使詰77手。図の●は何かというと、これは不透過・不可侵領域で使えない部分。要するに右上隅の5マス内だけしか使用できないということだ。両者持駒なしなので、使える駒も盤面の5個だけ。そんなの将棋ではないという意見もあるだろうが、まあその通りでこれは将棋パズルだと思えばいいのだ。あと重要なルールは、手順中に同一局面(盤面・持駒・手番ともに同じ局面)があってはならないというもの。これを許すといくらでも手数が延びるので当然だ。

 

210306
詰将棋パラダイス2020年12月号神無一族の氾濫5番
一乗谷酔象氏作天使詰77手

 

 なんだかよくわからないが、将棋パズルなら得意だぞと挑戦してみた。初手12龍で詰んでしまうが、できるだけ詰まないように指すのだからこれは不可で、22龍と歩の方を取る。同玉に12角成同玉までは必然。ここで盤面は12玉のみで持駒香歩となる。え、この先どうするの?とさっそく行き詰まる。しばし考えて13歩11玉に12歩不成という奇手をひねり出す。21玉とかわせて11歩成に仮に同玉と応じれば、13香と打てるので合駒を稼ぐことができ、手が延びる。実際には11歩成には一旦22玉とかわして21と12玉11と同玉とすれば4手延ばすことができる。こういう手順を踏んで狭いところを追い回し、77手後に詰める手順をさがすということになる。

 しかしそれにしても限られたマス目に限られた駒で77手なんて長手数が可能なのか。飛と香で合駒を得てそれをまた打ってと注意深く進めているつもりでも、すぐに堂々巡りで同じ局面が現れてしまう。秘術を尽くしてなんとか73手までは延ばしたもののあと4手が届かない。1週間近く考えて、飛成と飛不成を使い分けることで同一局面を回避して4手延ばす手順に思い至った。ついに解けた。いやあおもしろい。これは将棋パズルとしても出色の作品だと思う。棋力はまったく不要、パズル好きの方はぜひ考えてみてください。

 

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