寛大な処置を
涙なしには読めない記事だ。とても他人事とは思えない。
「東海道新幹線熱海~三島間を走行中の「ひかり」の運転士が便意を催し、運転免許を持たない男性車掌を呼んで、トイレに行くため約3分間運転室を離れる規定違反があった。運転士は「プロとして腹痛を理由に停止させることは恥ずかしく、列車を遅らせたくなかった」と話しているという」。別の記事によれば、「JR東海の社内規定では新幹線の運転士が走行中に体調が悪くなった時は輸送司令に連絡し、車掌が運転士の免許を持っていれば運転を交代するか、もしくは一度、停車してから運転室を離れることになっているということで、今回のケースは極めて不適切な行為で運転士の処分を検討している」とのこと。
生身の人間だものそういうことだってあるだろうさ。これまでも運転士や車掌がトイレのために列車が遅れたというニュースはあった。今回は走行中の新幹線だからどうしようもなかったのだろう。高速走行中で1人乗務の運転席、どれだけ焦ったろうと思うとやりきれない。規則では停車するなどというが、過密ダイヤの新幹線を止めることがどれだけ後続列車など多方面に影響するかを考えたら、とても停車する度胸などないだろう。運転免許もっている車掌がどれくらいいるのか知らないけど、不運だったとしかいえない。
ぼくも胃腸が弱く、突然の便意におびやかされることがままあるので、この運転士の気持ちはよくわかる。退職してよかったことの一つは、いつでも好きなときにトイレに行けるということだ。在職中は、講義や会議など時間で拘束されるときは、こんなことにならないように細心の注意を払っていたものだ。それでも冷や汗をかいたこともある。お遍路を歩いているときも道沿いのトイレにはずいぶんお世話になったという話は遍路記のあちこちに書いた。
新幹線の速度はATCで制御されているし、踏切がないから安全面の問題は少ないだろう。免許がないとはいえ、車掌は非常ブレーキくらい扱えるだろうし。とはいえ、先だっての台湾の大事故のように何かが落ちてきたりすることもあるから、万が一ということがないとはいえない。見過ごせない違反であるのは間違いない。なんらかの処分は仕方ないかもしれない。だけど、仮に停車させたら処分されなかっただろうかというと疑問な気がする。それよりも二度とこういう悲劇が起こらないように、必ず免許をもつ車掌を乗務させるとか、自動運転装置を導入するとか、対策を考える方がずっと重要だろう。
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