詰将棋パラダイス2021.5月号
詰将棋パラダイス5月号、到着日は4月30日。結果稿は2月号分で、今回は無事に小学校から短大まで正解。その代わりというか、解けてうれしやと思ったフェアリーランドの青木裕一さん作の最悪詰を間違えた。詰筋は合っているのだけど合駒の位置間違い。考えてみるとぼくの解答では最後が詰みになっていないし、書き間違いのような気もする。まあややこしい最悪詰だから間違えたのかもしれない。
さて、今月はその青木裕一さんの作品が別の場所でちょっと問題を引き起こしていた。短大の2番目の作品、正解者が51人に対して誤解者が30人もいた。それほど難しい作品ではなく、というかどちらかというとやさしく楽しいのに、なぜこんなに誤解者が出たのか。大きな要因のひとつに作品配列の妙がある。開き王手に対して桂合を2回繰り返して持駒の歩を桂に変換して詰上がる軽い趣向作品。さすがは青木さん、うまいものだ。19手詰だな。短大の手数範囲は19手から29手で、今月の短大は最初のが19手、2番目がこれで、あとは25手、27手、29手だから手数順にちゃんとなっている。
ん~、だけれどもだ...、19手詰が2個並んでそのあと25手詰に飛ぶのはなんかちょっと...。実は、ぼくも最初は桂合2回で19手詰でできたできたと喜んでいたのだ。それが他の作品と手数を比べてみてこの違和感に気づいた。短大の場合、後ろに29手詰が並ぶことはよくあるのだが、19手の短手数問題が最初に並ぶのはあまり記憶にない。しかもその後が25手に飛んでいる。これが19、21、25、27、29とかなら違和感ないのだけど、19、19と始まるのはどうなんだろう。ピッと黄信号が点る。
もう一つ問題がある。百歩譲って19手詰が2題並んでいるとしよう。同じ手数の作品のどちらを先に配列するかという問題がある。1番目の天内さん作と2番目の青木さん作、駒配りからいっても手順からいっても、どうみても青木さんの方がやさしくとっつきやすそうに見える。各月のトップバッターは客寄せと称して解きやすそうな手ごろな作品をおくのが常道だろう。同じ手数ならなぜ青木さんのが先にこないのだろう。これはおかしくないか。しかもそう思ってみれば、そもそも19手の手順は青木さんの作品にしては素直すぎる気もする。ここでピピっと赤信号。
これは何かあるなともう一度並べてみる。そして2度目の桂合の前に銀合をはさむ手順を見つけることができた。手数は6手延びて25手詰になった。次の作品が25手詰だからここが25手でも手数的に問題はない。むう、あぶないところだった。正解が25手、偽解が19手の作品が19手と25手の作品の間におかれている。前の作品が21手詰だったら19手は明らかにおかしいと気づくだろうが、これでは見落とすかもしれない。悪意すら感じるといっては言い過ぎかもしれないが、選題担当者が意図してこういう配列にしたと明言しているのも事実なのだ。かくして30名もの誤解者が出た。ちょっとした注意力と推理で防げたかもしれないのに残念なことだ。
実は今月は高校にも似たような問題があって、高校の4番目の鈴川さん作の15手詰が、8手目の中合を見落とすときれいに13手で詰んでしまう。作品配列からも13手と15手の間に並んでいるので、13手でも不自然ではない。ここも19人の誤解者が出ている。後ろの15手の作品と順番を入れ替えて配列すれば、13手ではおかしいと気づくので誤解者が減ったような気がする。それが意図されたことかどうかは、こちらの担当者は触れていないのでわからないが。
さて、今月の1作は、高等学校6番廣瀬崇幹氏作。玉方の馬の位置をあちこち移動させて最後に金打で詰上げる13手詰。馬の効きをはずせば頭金で詰むのだが、その形をつくるまでに理詰めの順番で少しずつ馬の位置を変えていかないとうまくいかない。典型的な翻弄もので、玉位置は動かず6連続の捨駒の応手はすべて同馬だ。サラッとした配置でうまいことつくるものだ。作者は大学の担当者。趣向作や軽い作品などもよく選題してくれて、以前はぼくなどには高嶺の花だった大学が最近は手が届くようになってきている。ありがたいことだ。
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