詰将棋パラダイス2021.7月号
詰将棋パラダイス7月号、到着日は6月28日。封筒がいつもよりちょっとふくらんでいる。おまけに郵便料金別納の印刷文字の上に郵票が貼られている。お、これはと思ったら案の定表紙懸賞に当選して、小冊子「解けてうれしい詰将棋」が同梱されていた。表紙はなぜかよく当たり、解答し始めてから3年半で3回目だ。コーナーによって倍率は違うが、不思議と当たりやすいところと当たらないところがある。なんにせよありがとうございます。
結果稿は4月号分で、今月は短大を1題間違えた。解答したときからこれは違うだろうなという予感がして、投函後柿木将棋(将棋ソフト)で答え合わせしてみたらやっぱり全然違ってたというもの。まあしかたがない。そのかわり久々に大学を1題正解したのでよかった。大12齋藤光寿氏作。最初、43桂成35桂合同角生からはいって追い回すも最後の最後で歩が1枚足りない。最初に5枚ももっているのだからと、どこかで節約する方法をあれこれ考えるのだけど、どうもうまくいかない。さりとて別途入手するといっても合駒の効くような手順にはならないし。さんざん考えて、最初の35桂合の前に24歩合なんて手があれば好都合なんだがな...、ん、あれ、そうか、ここに打診中合が成立することにやっと気づいた。話がうますぎるように歩1枚稼げて、無事に詰上がった。さすがはこの作者、おもしろいのを作ってくれるよなと結果稿をみたら、作者の言葉に「僕は途中で桂馬や歩が足りなくなって最初に戻る……みたいな構成が好きで、本作もそういう謎解きになっていれば嬉しいです」とあった。まさにその通りの術中にはまりましたよ齋藤さん、脱帽です。
さて、今月は2020年度の看寿賞の発表の月だ。1年間に発表された詰将棋の中から短・中・長編のそれぞれの部門で最優秀作を選ぶというもの。詰パラ本誌だけに限らず、他誌やネット上の発表作も候補になるので対象は厖大で、7名の選考委員だけですべてに目配りするのは不可能に近いだろうから、一般からの推薦を受け付けている。ただ、一般といっても推薦するような人はほぼ詰パラ読者に限られるだろうし、実際今年の一般推薦者はたったの7名だ。というわけで候補作も詰パラ掲載作か詰パラ界隈で知名度のある作品になりがち。その中から選考委員会で投票するのだが、昨年も書いたように評価尺度は人によってさまざまだ。今回も、この手数でこれを成立させるのはすごいという人あれば、こんなのはひと目で意外性がないと切り捨てる人あり、と議論は平行線で最後は好みということになってしまう。
本賞に限らず選考というのは大なり小なりそういうもので、ぼくも在職時にいろいろな学会や財団の授賞選考に係わったことがあるが、たいていは合議などはほとんど意味なくて、個々の点数集計か多数決にならざるをえないものだった。今年のぼく個人の感想としては、短編賞の市島氏の順位戦作は解いたときにはなるほどなと思ったけどそれほど強い印象はなかった。前に書いたように同じカテゴリーでの小林氏作のインパクトが強かったせいかもしれない。最後まで争った裏短コン虎野亜奈氏作はネット上の作で、ぼくは残念ながら未見だった。自分で考えて解いてないので比較対象としては評価できない。中編賞の宮原氏作は納得。ここでも取り上げたし、ぼくも大好きだった。長編はいずれもぼくは解いていない(解けない)のでノーコメント。
今月の1作は、なんと超長編作。大学院8やよい氏作「シャングリラ」553手詰。だいたいぼくには大学院の作品は見るもので解くものではないという認識しかない。解こうという気にもならない。が、今回は担当子の「解きやすい」ということばと、以前この作者のやさしい趣向作を解いた経験もあって、めずらしくトライしてみた。やってみると入りが簡単で変化がほとんどなくすらすら進む。右辺の折り返しで少し考えるも合駒がないので難しくはない。中央へ戻ってこの手順を繰り返すのだなということはぼくにもわかる。その繰り返し方だが、と金を動かすしかなくてうまいこと下段へ落せて次のサイクルへ。その歩を使ってその次へと進み、次は71の角を引っ張ってくるしかなく、右上への斜めの空白と意味ありげな端の桂馬からあれを取りに行くのかと馬鋸に気づく。馬をひとつ動かすたびに龍追いが回転するのでどんどん手数が延びるという仕かけ。あとは取った桂馬でどう収束するかを考えるだけで、未使用の左上部分に追い込んで無事に幕となる。ぼくでも解けるやさしく楽しい超長編。こんなに長い詰将棋は初めて解いた。とてもうれしい。
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