「三角(さんかく)」という名の三角点。全国に三角点は10万点以上あるので、どこかに同名の点があってもおかしくないが、点名順リストのようなものはありそうでないので見つけようがない。以前のエントリに出てきた「三角点にちなむ地名雑学のページ」には、愛知県の「三角町(さんかくちょう)」、熊本県の「三角山(みすみやま)」が採録されていたが、ずばり「三角」というのは他にない。札幌にも三角山があって頂上に一等三角点があるが、残念ながら点名は「琴似山」だ。というわけで希少な「三角」にやっと行ってきた。
踏査日は2021年8月24日。場所は東区東苗穂にある東陵高校の近く、といっても土地勘のある人以外にはわかりにくい。JRや地下鉄の駅からはかなり遠いので公共交通機関で行くとなるとバスということになる。ぼくは前に書いた三角点通歩きの途中に訪れたが、三角点通には頻繁にバスが通っていて、最寄りの停留所は東苗穂10条3丁目だ。バスセンターからだと30分、地下鉄東豊線新道東駅からだと20分というところ。バス停の北側の交差点(A)を西に折れると200 mくらい先に東苗穂北公園という大きな公園がある。その角(B)を右折するとすぐ右手に農本中ひばり公園という小さな公園があって、その北角の砂場の横に三角点がある。バス停から歩いて3分ほど。
砂場の横には三角点らしきものは何もないが、一ヶ所怪しげに地面が凹んでいるところがあった。あるとすればここだろうと持参の移植ごてで掘ってみると、すぐにカチンと石に当たり十字を切った標石と石枠がでてきた。地表面から下がった位置なのでどうしても埋まってしまうのだろう。明らかに周囲から凹んでいるのでわかったが、これが平らだったら見つけられないところだ。せっかくの三角点「三角」なのに説明板は望めないにしても標柱すらなく埋もれているのは残念。わかりやすいようにと掘り出したそのままで来てしまったけど、ひょっとしたら小さな子どもが遊ぶ砂場の横なので、子どもが足を取られたりしないように埋めてあったのかもしれない。埋め戻しておいたほうがよかったかと後から気がついた。
三角という特徴的な点名は近くの三角点通とは関係ないようで、昔このあたりに三角形の区域があったからということらしい。1950年までの古地図では札苗北小あたりに三角という地名表記がある。点の記によれば旧設置1979年とありそれ以上さかのぼれないが、三等点なので最初の設置は1910年代と思われる。他の三角点でもありがちだが、点の記で情報をアップデートするのはいいけれど、こういう歴史的経緯が保存されないのはどうかと思う。その後、1991年に旧位置の南東280 mに移転となっているが、今昔マップによれば1916年にはすでに表記があり、1975年までの位置は現位置の600 mくらい北方にある(新旧地図マーカー位置)。ということは一旦大元の位置はリセットされて、1979年に現位置の北西280 mあたりに設置し直したということかもしれない。
〇三等三角点「三角」
北緯 43°06′06″.1532
東経 141°24′55″.624
標高(m) 4.78
三角点通の東苗穂10条3丁目バス停(北方向行き)
すぐ先の街路樹のところがA地点
三角点通から左折した西方向(A地点)
すぐに右角に東苗穂北公園がある(B地点、公園の奥に東陵高校が見える)
B地点を右折してすぐに右手に小さな農本中ひばり公園がある
道路沿いのゴミステーションの先に砂場がある
砂場の角の地面の凹み(矢印)
掘ってみると標石があらわれる
標石
周囲の位置関係
位置図(国土地理院地図(電子国土web)に一部記入)
新旧地図比較(今昔マップ on the web)