透明駒問題を解く
詰将棋パラダイス12月号で結果発表があった「透明駒入門」発刊記念作品展の4題はいずれもおもしろく、ぼくのような初心者には勉強になる作品ばかりだった。そのなかでぼくが間違えた4番上谷直希氏作をとりあげてみたい。なお、透明駒って何?という方は「透明駒とは何か」を、より詳しく知りたい方は「透明駒入門」をご覧ください。
受方に透明駒が1個ある詰将棋3手の問題(A)。盤面に受方の玉がないのでこれが透明になっているとわかる。まず正解手順を追ってみる。
初手は23金(B)。これによって受方玉位置の可能性は23金によって王手がかかる位置、すなわち32か13だと決まる。2手目は逃げる「X」、Xで取る「同X」、角で取る「同角」の3通りがある。
2手目「X」の場合。玉位置が13なら逃げられないので32玉だったことになり、逃げる位置の可能性は31か43ということになる。そこで3手目に22金とすれば詰みだ(C)。玉位置が43なら詰まないではないか。いや22金と指したということはこの手が王手でなければならないので、43に玉がいる可能性(×)はない。すなわち玉位置は31しかなく詰んでいるのだ。
2手目「同X」の場合。玉位置が32でも13でも23金を取ることができるが、この場合玉位置が23に決定(可視化)されるので、22角成で詰み(図省略)。
2手目「同角」の場合(D)。これがすばらしい。玉位置は依然として32か13か両方の可能性がある。金を取られてしまったので王手のかけようがなく、22角成くらいしかないと思える。玉が13なら詰みだが、32なら42や43に逃げられて詰まない。
これでだめだとぼくはあきらめたのだが、ここで22角不成という手があった(E)。13玉ならこれでも詰み。32玉ならやはり詰まないのでは。いやいや32玉な22角不成はそもそも王手にならない、すなわち22角不成が王手になるということは玉位置が32である可能性はないのだ。結局すべての変化が詰んだのでこれが正解。
ぼくが間違えたのは初手43金(F)。この場合受方玉位置の可能性は、32、52、53の3通り。
ここで2手目「X」とすると、22角成とすれば詰む(G)。22角成が王手になるような可能性は、32にいた玉が31か23に移動した場合に限るからだ(図の×位置は王手にならない)。
2手目「同X」ならどうか。このときは22角成が王手にならないのでその可能性はない。というのはいわゆる勝手読みだ。この場合、2手目同Xという駒取りの手で受方玉の位置が43に決定してしまう(H)。だから3手目の22角成で可能性を排除するというのは間に合わない。後出しじゃんけんだ。というかそもそも王手にならないので22角成とは指せないのだ。初手23金のときに43Xと逃げる可能性を最終手22金で排除できたのは、それが可能性だったからであり、43金を同Xと取った場合は43Xの位置は可能性ではなく決定だ、というのが文字通り決定的な違いだ。いやいや勉強になりました。
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