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2022年1月28日 (金)

試験監督受難

 う~ん、しかしこれは全国の試験監督を震撼させる事件だな。
 一部で天候の影響があったものの、大きな混乱もなく無事に終わったと思われていた共通テスト。世界史の問題の画像が試験中に複数の大学生に解答依頼で送られていたというからびっくり。画像の角度や解像度などから、発覚しにくいスマートグラスなどのウエアラブル端末では、すわ組織的犯行か、などと憶測を呼んでいたが、わかってみれば単独犯で、単に上着の袖の下からスマホで撮った動画から静止画を切り出して送信していたのだという。

 となるとこんどは、撮影だけならともかくこれら一連の動作を試験時間内に行って、なんで見つからなかったのだろう、という疑問がわく。試験監督は何をしていたのかと。いやいや、それほど簡単な話ではないんだなこれは。試験会場や座席配置にもよるけれど、試験監督は何でも見えるかというとそんなことはない。受験生が顔を伏せて屈みこむように机に向かっていたら、手元なんかほとんど見えやしない。ただでさえ集中を乱すとかいって机間巡視を制限されているのに、近づいて手元をのぞき込むわけにもいかない。

 あやしいと思っても個別注意はできないことになっていて、全体に向けて注意喚起をすることしかできない。よほど物証とか自信をもって現行犯と確定できないと、個別に摘発するのは難しいだろう。なにより勇気がいる。今回、容疑者が名乗り出たことで試験会場が特定されるから、当然そこの試験監督が事情聴取されるのだろうな。もう気の毒としか思えない。別にさぼっていたわけではないだろうに。まさか懲戒処分なんてことはないだろうけれど、寛大な処置をお願いしたい。

 ぼくも現役時代は何度も試験監督をやったが、あれほどいやなものはない。何より緊張するし、無事に終わってあたりまえ、何か問題が起きたら大変だ。分厚い事例集なんて渡されたって覚えきれるものではないし、とっさの対応を迫られることもある。たいていは何事もなく終わるけれど、何回か試験時間内に問題が起きたこともある。今思い出してもぞっとする。ほんと受験するほうがよほど楽だと思った。試験監督に駆り出される全国の先生方、本当にごくろうさまです。

 

220128 
問題の画像(東大生提供)(読売新聞

 

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