詰将棋パラダイス2022.1月号
詰将棋パラダイス1月号、到着日は1月4日。また新たな気持ちで開いた新年号の表紙の作者の前田さん、職業がクロスワードパズル制作とある。職業じゃないのかな。でも2番目の◇はみんな職業を書いてある位置だし。クロスワード作家といえばニコリに毎号高尚晦渋な大作を寄せている遠藤郁夫さんがすぐ浮かぶが、こちらの道も奥が深そうだ。
気になる結果稿は10月号分で、今回は高校までは無事だった。短大は例の持駒いっぱい特集。10月号の記事の時点でまだ2題しか解けていないと書いてあるが、結局3題しか解けなかった。その中では短16は素敵だったな。初手の角打ちに下辺へ逃げ込まれると厄介だが、そっちは本線ではないだろうし、詰むと分かればあとはきびきびと進む。短17の短評には竹中さんの「大量に持駒があるときは詰み形をどう想像するかが重要」というのがあった。そうなのか。普通の作品でも詰み形を考えるのはひとつのポイントだと思うけど、どうもぼくは不得手だ。だから持駒いっぱいが苦手なのか。
大学はやさしい問題特集で久々に全部解けたけれど、大12の変化(ロ)の変別にはまった。作意27玉のところを37玉とよろけて38歩を先に打たせると2手延びる、というのは浅慮で37玉には直接48銀で早いというお粗末。解説に×ですと書かれているのに、なぜか全題正解者に名前が載っている。年間点数集計の方はどうなっているのだろう。これは申告すべきかなあ。ジョージ・ワシントンのように誉められるだろうか。しかし好作ぞろいで3題ともとても楽しく解けた。半期に一度くらいはこういう特集をやってほしいものだ。固定客ばかりでなく間口を広げるのに最適と思う。
飛んでフェアリーランド。こちらも全題解けたぞと勇躍解答を送付したのに、最後のQばか自殺詰を間違えた。誤解者1名とはぼくのことだ。なんのことはない10手で解けたと喜んでいたら、8手の問題だったというから話にならない。そりゃ簡単に解けるよな。
そうだそうだ、結果稿ではなんと推理将棋と短大の2コーナーで当選していた。こんなことは珍しい。どっちも一部しか解答していないのに、新年早々ありがとうございます。今年はいいことあるかな。
ところで、本号で解答の書き方へのお願いがいくつかあって考えさせられた。
まずヤン詰1番結果稿(p.7)。2手目と6手目に桂合が出てくる。2手目は桂を打つ普通の合駒で、6手目は盤上の桂を跳ねての移動合だ。こういう場合、詰将棋界では順に「12桂合」、「34桂」と記す。つまり打合は「合」と書き、移動合は「合」を書かない。そして、後者のときに移動合できるところに重ねて桂を打つ場合は、「34桂打」と書いて区別する。「34桂打合」と書く場合もあるがふつうは「合」を省略する。ぼくは同じ打合なのに「合」を書かないのは変だからと「34桂打合」と書くが、それは少数派だ。ところで、この「合」の字を入れるのは詰将棋の流儀であって指将棋の棋譜では見たことがない。打合でも移動合でもふつうに「12桂」、「34桂」としか記さない。NHK戦の読み上げでも新聞の棋譜でもそうだ。
前置きが長くなったが、ヤン詰の解説子はここで「「12桂・34桂」と書いた解答が多数。合駒を打ったのかどうか、差がわかるように記してください」とコメントしている。考えるにこの多数者は指将棋慣れしている人で、それが普通だと思っているのではないか。だいたい合駒には「合」を書きなさいという詰将棋独自ルールは本誌のどこにも書かれていない。ここは初中級者向けコーナーだし、年に1回くらい解答記載の注意を載せてもいいかもしれないと思う。
関連して、高校結果稿の高18(p.62)に初手「33桂打」の「打」を飛ばした人がいて注意してほしいとの担当者のコメントがあった。これは合駒ではなく単に同種駒の利き位置に重ねて打つ例なので、区別するために指将棋でも「打」は必須だ。高校に解答応募するくらいの人は先刻ご承知だろうから、これはたぶんうっかりミスだろう。
もうひとつは別の話。大学院の出題稿(p.17)に、「解答時はメール、書面を問わず、10手ごとに改行を入れていただくと採点がしやすいです」との担当者のお願い。
これはいつもどうしたらいいのか迷っていたことだ。ぼくの場合は書面はB5判縦置き横書きで12手ごとに改行、メールは改行なしにしていたが、たくさんの解答を集計する担当者はまちまちの書式でどっと送られてきて大変だろうなといつも思っていた。こういうふうに指示してくれるのはありがたい。これからはそうしよう。もっとも担当者によってはそれぞれ好みがあるかもしれない。かといってコーナーごとに異なる指示を出されても混乱する。このあたり、編集部で統一した解答テンプレートみたいのを用意してくれるといい気がするけど。
今月の1作は詰将棋デパート1番小沢卓也氏作9手詰。9手詰なんて簡単でしょ。どっこいそうは問屋が卸さない。開き王手の筋がいっぱいあり、それぞれに受け手もいろいろ。どうやっても逃げられる。いやあ考えた考えた。よくこんな単純な構図でトリッキーな問題を完成させられるものだ。
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