山線の命運
数日前に今年は新線開業の当たり年と書いたが、開業する路線があれば廃止される路線もある。ここ北海道ではすでに協議に入っている留萌本線の廃止が決まりそうだし、2030年度開業予定の新幹線延伸に伴って経営分離される函館本線函館~小樽間についても、特に議論が先行している後志ブロックの長万部~小樽間(通称山線)の結論が出そうだ。山線の処遇については、年末の12月27日に行われた対策協議会で沿線9市町の意見をとりまとめる予定だったが、小樽市、ニセコ町、蘭越町、黒松内町が議論に必要な資料が出そろっていない等で保留となったため、とりまとめは先送りされた。残りの町では余市町が小樽~余市間の鉄道維持を望んでいるほかは、仁木町、共和町、倶知安町、長万部町はバス転換に同意となっている。
この結果については年末にメディアでも報じられていたが、この第11回対策協議会の詳細な議事録がこのたび公開されて、それを読んでみると報道とはずいぶん印象が違うのに気づく。協議会において国やJRからの説明のあとの自治体からの質問は、ニセコ町の一つを除いてあとはすべて余市町長によるもので、まさに一人相撲の感がある。ただその余市町にしても、内容や最後のサマリーをみると、強硬に鉄路維持を主張しているというよりは、2030年まではJRで運行することや仮に廃線になった場合に線路等の撤去費用はJRが負担するなどの確認にみられるように、廃止を前提とも思えるふしがみえる。もう落としどころをさぐっているようですらある。
今回判断保留した市町村も、今回提示された資料を判断材料として持ち帰るといっても鉄道維持についてプラスの内容はなく、もう流れはバス転換容認に傾いてしまっているようだ。その他にも、有珠山噴火等による貨物列車の災害時代替ルートの可能性について、JR貨物から牽引機DF200が走行できない箇所が複数あるので非常に困難との見解が示され、国からの代替ルートを見越した貨物調整金の交付も不可とのことで、鉄道を残す必要性がまたひとつ減らされてしまった。ということで結論がおのずから見えてきたという気がする。
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