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2022年5月30日 (月)

ローカル私鉄の輸送密度

 これはおもしろいデータが公開された。鉄道統計年報から個人(タビリス運営の鎌倉淳氏)が独自に算出した数字ということで公式のものではないが、JR各社については赤字路線存廃議論に付随して公表されているものの、他の私鉄に関してはこの種のまとまったデータはみたことがないので興味深い。

 昨今のJR各社の路線存廃基準のひとつである輸送密度が2000以下に相当する私鉄は56路線もあって、そのうち500未満が15、500-999が20、1000-2000が21となっている。輸送密度が500未満というといつ廃止協議に入ってもおかしくないレベルだが、その大半は国鉄時代の赤字路線を継承した第三セクター路線で、赤字は織り込み済みで地元自治体が支えることによって持続している路線だ。その自助努力がどこまでもつかというのはともかく、よそものがどうこういう筋合いではないだろう。

 このうち、タビリス記事でも触れられているように、1位の阿佐海岸鉄道はDMVに転換して再生が始まったところだし、2位の南阿蘇鉄道は熊本地震から復旧の途上、3位の紀州鉄道は民間企業の広告塔の意味合いが強いということで、今すぐどうこうということはない。それより問題なのは4位以下で、ぼくからみても4位の秋田内陸縦貫線、10位の津軽鉄道線などはよくもっているなとしか思えない。秋田内陸はもともと大赤字の国鉄阿仁合線と角館線を三セク化し、中間部(鷹角線)を開業して直通化したものだが、どう考えても直通工事を中断して廃線にしてもおかしくないところだった。津軽鉄道はもともとからの私鉄だが、残っているのが奇跡だ。

 それ以外の路線も、観光鉄道として期待される門司港レトロ線や三陸リアス線、貨物の動脈である道南いさりび鉄道線以外は、どこも大変そうだ。ぼくはもちろんすべてに乗ったことがあるが、ほとんどの三セク路線は国鉄時代に乗ったものだから現況はよくわかっていないけれど、沿線状況が大きく変わっているとも思えないし。現在問題になっているJRの赤字路線も仮に三セク化して存続したにせよ、ここのリストにはいることは間違いないだろう。一時的に延命したとしてもどうみても先行きが明るいとは思えない。

 

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