生薬効果
昨日の話の続き。次は本線の感染性胃腸炎に処方された薬について。ぼくはふだんあまり医者にかからないので、薬をもらってくると物珍しくつい調べてしまう。といっても今は薬局で説明を書いた紙を一緒にくれるので手間暇はかからない。写真の左からガスモチン・アルサルミン・レベニンS(3剤混合散薬)、ストロカイン(錠剤)、フェロベリン(錠剤)、チアトン(カプセル)の4種類。散薬なんてのはいまどき珍しいような。いかにも胃薬という感じがする。
それはともかく、おおと思ったのが薄橙色のフェロベリン錠剤で、成分がベルベリン・ゲンノショウコエキス配合だという。生薬ではないの。ベルベリンならよく知っている。代表的なイソキノリンアルカロイドでメギ科植物成分だ。メギ科というのは原始的被子植物である多心皮群に属するちょっと変わった分類の植物で、昔興味を持ってちょっと成分探索を試みたことがある(後記:ぼくの植物分類の知識は40年前の水準なので現在は変わっていると思います)。といってもここいらで見られる種はほとんどなく、低山の林内に今頃花を咲かせるサンカヨウくらいしか手に入らなかった。その根の成分として簡単に結晶性成分が得られ、調べてみたらポドフィロトキシンというリグナンの1種だった。既知化合物だったのでそれはそこでおしまいとなったが、その縁でうちの裏庭にはサンカヨウが1株植えてある。ゲンノショウコのほうもよく知られた生薬で、よく効くから「現の証拠」と名付けられたというのは有名な話。ゼラニウムの仲間でこちらは豊富なタンニン成分が活性の元となっている。
ぼくは特に天然自然志向というわけではないが、こういう天然生薬をみると親近感をおぼえて、なんとなくこいつは効きそうだなと思ってしまう。昔は天然物化学屋のはしくれだったもので。
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