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2022年5月11日 (水)

もうひとりのサイトウプロ

 詰将棋パラダイス5月号の話は別に書くとして、結果発表にあった齋藤光寿奨励会三段の作品のお話。サイトウプロの詰将棋といえば、まずは名人戦七番勝負真っ盛りの斎藤慎太郎八段が浮かぶ。この間の第三局は渡辺名人の見損じでの逆転勝利だった。まだ内容はあまりよくないのかもしれないが、これをきっかけにしてなんとか盛り返してほしいものだ。話が逸れた。その斎藤八段に勝るとも劣らないのが、もうひとりのサイトウプロ齋藤光寿三段の詰将棋(厳密には奨励会員はまだプロではないのかな)。このへんの話は前にも書いたことがある。

 さて、詰将棋パラダイス2022年2月号短大8出題の25手詰。これが詰みそうで詰まない。ぼくは2月の半分くらいはこればっかり考えていた気がする。結局解けなかった。解答をみると、ああ何で気づかなかったかなあ、決して難しい手順じゃないのにとがっくり、そして感心した。なんてうまいんだろう。

 

220511a
(A)詰将棋パラダイス2022年2月号短大8齋藤光寿氏作

 

 図Aが出題図。持駒がないので初手は34飛か54桂くらいしかない。飛車は左に使いたい気もするのでまずは54桂と跳んでみる、とすかさず48歩中合がくる。これは取るしかないが次いで47歩と連続の中合だ。これも取るしかないが馬筋が二重にブロックされてしまうので、順序としてまず34飛43玉を効かせてから連続中合を取ることにして、53玉と逃げた局面が図Bだ。

 

220511b
途中図B

 

 図Bから62銀生64玉と追うと、歩2枚しかないので65歩同玉くらいで後続手がない。このとき47の香車が飛車だったら67飛の両王手で詰みだ。そうかそうか、図Bのときに43香成同玉47飛とすればよいのだ(図C)。53玉と逃げればこんどこそ62銀生64玉以下詰む。

 

220511c
47香を飛に変えた図C

 

 ところがそうは問屋が卸さない。図Cでは45歩という小癪な中合があって、同飛ととると53玉62銀生64玉となったときに馬筋が通ってしまったので65歩が打歩詰めだ。さりとて55歩が邪魔で飛車が回れない。これで香を残すと詰まないし、飛に変えると打歩という寸法になって手も足も出ない。凡人のぼくは気づかなかったが、経験を積んだ人ならここでははーんとなるのだろう。図Bへもどって47香をおいたまま62銀生64玉65歩同玉の局面でさらに66歩と打つ手がある(図D)。取られて詰みそうもないと思ってしまったが、同玉には39馬と寄る手があって詰んでしまうのだ。

 

220511d
途中図D

 

 なので66歩には64玉ともどるよりない。そこで73銀生53玉ともどすのが二の矢だ。73銀生を同玉なら82飛成64玉62桂右成以下簡単だ。62銀生64玉の局面では54の桂馬を動かせないのでついこの順が盲点になり玉を戻すという発想が浮かびにくくなっている。この2点に気づけばあとは簡単なのだ。53玉ともどったところでこんどは43香成同玉47飛と回ることができる(図E)。

 

220511e
途中図E

 

 図Cとの違いは66歩があること。なので図Eで45歩と中合しても、取って6筋に追ったときに65歩突きで詰んでしまう。というわけで図Eからは単に53玉と逃げて、62銀生64玉65歩同玉67飛までのきれいな両王手詰みとなる。わかってみれば打歩詰解消のために事前に歩を置いて突き歩にするというよくある手筋のひとつに過ぎないのだった。わかってみれば、ね。恐れ入りました。

 

 

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