3手収束
最近ちょっと気になっている用語がこの3手収束。主として短編詰将棋について好ましくないニュアンスで使われる。昔はあまり聞いた覚えがないし、その定義が判然としない。たとえば次の作品。
A) 詰将棋パラダイス2022年4月号中学校18海老原辰夫氏作11手詰(左:初期配置、右:収束3手前局面、以下同じ)
ぼくは5手目23金がなかなか発見できず、海老原さんらしいスキのない好作だなと思っていたが、解説によると「好手が1つと3手収束というバランスは現代感覚だと甘く見えてしまう」とのことだ。
この最終3手は馬で合い利かずの王手をして玉が逃げて馬が入るという手順だ。確かに冗長といえばいえるが、作品全体の流れからすると23金の味わいからの余韻といってもいい気がする。この手の飛角で合い利かず逃げて駒成という一連の手順は確かに頻出で、紛れる余地もなく安易なので現代詰将棋の感覚だと緩みという評価になってしまうのだろう。
最近の詰パラからもうひとつ。
B) 詰将棋パラダイス2022年3月号高等学校14佐藤勝三氏作17手詰
こちらも解説文に「3手収束もあまり評判がよくなかったようです」とある。ワンクッションある龍での追い詰め。これもよくあるパターンではある。
こうしてみると3手収束というのは一連のパターン化された追い手順という意味なのだろうか。
気になったのでネットで少し検索してみたところ、次のような例が出てきた。
C) つみき書店詰将棋つくってみた(73)課題15:結果発表(後編)第18問negitarou氏作7手詰
「7手で3手収束になるのは残念です」
D) TETSU詰将棋作品集おもちゃ箱第44番9手詰
「最後は3手収束ですが、序と対応しているので、これでいいか、と」
E) 詰将棋サロン名作選p.344 389番(将棋世界2007年2月号初出)妻木貴雄氏作17手詰
「作者には珍しい3手収束だが、最善形だろう」
う~む、わからなくなってきた。いずれも簡単な追い詰めか並べ詰めではあるけれど、パターン化されているようには思えない。収束の緩みというだけのことで、ことさら3手収束などという用語でひとくくりにする意味はない気がするが。なにかぼくの気づかない共通点があるのだろうか。
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