函館~長万部問題のゆくえ
最終案が提示されていた留萌本線廃止について、8月30日に地元自治体が基本的に合意して、予定通り来年春の石狩沼田~留萌間と3年後の深川~石狩沼田間の廃止が決定となった。これでJRが単独では維持できない赤字線区のうち、最も収支状況の悪いいわゆる赤色線区4区間のすべての廃止が決まったことになる。次の課題はそれに次ぐ8本の橙色線区の処遇ということになるのだが、そちらは最近国交省内で行われている「鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会」の議論の帰趨とも相まってまだまだ流動的だ。
一方で、待ったなしの議論が必要となっているのが北海道新幹線の並行在来線問題。こちらは、長万部~小樽間についてはすでに廃線バス転換が決定していて、最後に残った函館~長万部間の議論が続けられている。といっても沿線自治体による対策協議会は遅々として進まず、このほどやっと1年4ヶ月ぶりに第9回の会議が開かれた。その結果は、すべての自治体が函館~新函館北斗間のみ鉄道を残し、新函館北斗~長万部間は廃止という意向とのことだ。この後者の区間の輸送密度は普通列車に限ってみると現状の留萌本線と同程度の低さということで、新幹線開業とともに在来線特急が全廃されれば、とうてい地元自治体での鉄道維持は困難という状況だ。まあそれはそうだろうな、でもそうすると貨物列車はどうなるのという話だが、それについては沿線自治体が責任を負える話ではなく国と道が主導で考えるべき、と沿線首長は話している。まことにごもっともとしか言いようがない。
地元新聞社のニュースでは、国の判断待ちみたいな鈴木知事の通り一遍の談話が紹介されているくらいで、それ以上の突っ込んだ報道はされていない。みんなが責任回避みたいな状況でいったいどうなるのかと心配になるが、さすがタビリスがそのへんの状況の詳細を紹介している。それによれば、JR貨物が旅客会社に支払っている線路使用料を国が補助する貨物調整金制度が2031年度から見直されることが決まっているのだそうだ。また、国交省の「今後の鉄道物流のあり方に関する検討会」では、全国一元的な貨物鉄道輸送サービスの維持・発展に必要なコストを誰がどのように負担していくのか、その中で国からの支援はどうあるべきか、などについて関係省庁も含めて多角的に検討していく必要がある、と国の積極的な支援が検討されている最中だ。このあたりの流動的な国の方針が定まらないことには今後のビジョンが描けないのももっともな話だ。
JR貨物はもちろんのこと、JR北海道にしても四季島やロイヤルエクスプレス乗り入れはおくとしても、新製車両の甲種輸送とかJR東から毎年借りている軌道検測車の搬入とか、線路がとぎれると不都合がいろいろ生じることもあり、結局はどこが主体で管理するかは別として単線化のうえ存続ということに落ち着きそうだが、まだまだ結論が出るまでは長そうだな。
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