生体直交化学って?
昨日発表された今年のノーベル化学賞、「クリックケミストリーと生体直交化学の開発」によってベルトッツィ、メルダル、シャープレスの3氏が受賞。大方の予想を覆して2年連続有機化学畑からの授賞となった。これはもう前々から候補に挙がっていたし、独創性や応用性などのインパクトの大きさから文句なしのど真ん中としか言いようがない。有機化学・生化学のはしっこに連なる者なら知らぬ者のない、ぼくでも知っている、というかヒュースゲン環化は使ったこともある。この手法の開発によって、どれだけ生命現象の解明につながる生体分子認識研究が進展したかを考えると、遅きに失したといってもいいくらいだ。
さてこの反応、現役時代に選んだ文献ゼミの論文にもしょっちゅう出てきたのだが、そのときに困ったのがこの中の「生体直交化学」という用語。初めに「bioorthogonal」という語に出くわしたときに、あれ何て訳すんだろうと考えた。辞書にはないし、いろいろ関連文献をさがしたら、ド直訳で生体直交(化学)と訳すらしい。なんだよそれ、意味わかんないだろと思った。意味するところは理解できるが、それがなんでorthogonalなんだろう。今回の解説をみて、これがベルトッツィ氏の造語だと知った。また難しい語をつくったものだ。クリック(化学)が直感的でわかりやすいだけに、よけいそう感じてしまう。原語はしょうがないにしても、もうちょっと適当な意訳語がないものだろうか。
もちろんこのたびの授賞にケチをつけているわけではない。本当におめでとうございます。ただ、ヒュースゲンの名前が...と思ったら、亡くなっているんだ。残念。
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