97歳
高齢者ドライバーの交通事故には今さら驚かないが、さすがに97歳老人の起こした福島の死亡事故には驚いた。あれ、池袋暴走事故の元院長はいくつだったかなと思ったら、当時87歳だった。あのときもそんなに高齢でと叩かれていたのに、さらに10歳も上とは。日本の高齢化進行は顕著で、100歳以上人口が全国で9万人を超え、90歳以上だと200万人ということだ。もちろんその中には車を運転する人だっているだろう。今年から75歳以上の高齢者に対する運転技能検査が義務付けられたが、それとて一定の違反歴のある運転者だけだし、そもそも次の免許更新の時期が来るまではどんな高齢者でも今のまま運転できてしまう。
こういう事故が起こると、若年者には年齢制限があるのに高齢者にないのはおかしいという議論が起こる。たしかにその通りで、加齢とともに運動機能や瞬間的な認知・判断力などは低下するから、そんな状態でひとたび間違えると重大事故につながる車の運転をすること自体が恐ろしい。今回亡くなられた方はほんとうに不運だったとしかいえないが、街中を歩いていて誰もがいつなんどき同じ目に合うかもしれないのだ。ただ、運転免許の年齢制限は必要だとは思うが、何歳で線を引くかとか現実的には難しいし、反対意見もあるだろう。アメリカでいくら悲惨な銃犯罪が続いても銃の規制ができないのと同じことだ。
自分も年寄りの部類なのでよくわかるが、加齢による衰えというのは確実にある。だけど少しずつ進むので自分では違いがわかりにくい。昨日今日はもちろん、1年前と今と比べても大して変わらないような気になる。でも確実に違いはあるのだ。たとえばぼくは40年以上ランニングを続けているが、LSDなど長い距離を走るときの快適なペースは10年前くらいまではキロ6分40秒だった。不思議なもので時計をみなくても走っているうちにだいたいこのペースになって、ずっと走り続けられた。それが気がつくと今では7分くらいになっている。試しに6分40秒で走ってみるととんでもない速さに思える。そういえばもっと若い頃はキロ6分なんて普通だったのにだ。
一事が万事、走力だけではなく他の機能も気づくと気づかないとにかかわらず必ず衰えているに違いない。一方で、今どきの年寄りは元気だから長く働いてもらうべきだと定年延長する流れになっている。年金財源等財政面での必要性もあるのだろうが、それが自分は年をとっても若い時と変わらないんだという錯覚を助長しないといいのだが。確実に判断力の劣っているであろう人たちが長老と祭り上げられて一向に引退しない、あ、いやどこの話というわけでは...。
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